幕府の職制。番衆ともいい、交替で幕営や幕府殿中の警衛、将軍身辺の護衛などの役を勤める者をいう。鎌倉幕府の番衆がもっとも古く、鎌倉大番(おおばん)をはじめ早昼番、近習(きんじゅ)番、学問所番などさまざまな種類があった。いずれも御家人(ごけにん)に対して番役として賦課されたもので固定化されたものではなかった。
江戸幕府の番方も初めは番役と考えられるが、しだいに人数、職掌などが固定され役職化されていった。種類は大番、書院番、小姓組(こしょうぐみ)番の番方三役をはじめとして数多い。これに対して、行政関係の役職を役方といった。番方に対する規則は1624年(寛永1)の「御番衆条目」が最初で、殿中の作法や心構えなどが規定されている。
[佐々悦久]
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江戸幕府の職制で,軍事部門を担当した役職。大番・書院番・小姓組番・新番・小十人組番からなる五番方をはじめ,徒(かち)組・鉄砲百人組・先手(弓・鉄砲)組・持(弓・筒)頭・旗奉行・鑓(やり)奉行などがこれにあたる。行政を担当した役職を役方というのに対する。一般に,平時には番方の重要度は低下し,役方に有能な人材が配されたといわれるが,人事上で両者に明確な区分があったわけではない。書院番・小姓組の両番から出発し,番方・役方種々の役職を歴任して勘定奉行・町奉行・大目付に至る道筋は,旗本にとってのエリートコースであった。両者の関係は,幕府官僚機構全体のなかで有機的にとらえる必要があろう。
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…江戸幕府および藩などにみられる番方(武官)職制の一つ。幕府の大番の起源については諸説があり,そのうち1587年(天正15)に3組設置されたとする説がもっとも有力なものとみなされている。…
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[武家]
与頭とも書く。江戸幕府の番方(武官),役方(文官)の長官である頭,奉行,支配などの配下にあって,次官として各組の頭に任じたものをいう。幕府の番方の一つ大番には大番頭の配下に大番組頭,役方の一つ勘定所には勘定奉行の配下に勘定組頭,無役(本来は番方に所属)のものを集めた小普請組には小普請支配の配下に小普請組頭がいるといったぐあいである。…
…江戸幕府番方(番方・役方)の職制。1643年(寛永20)創置。…
… 旗本の幕府勤仕は有職を原則としたが無役の者も少なくない。有職の旗本は武事系の番方(ばんかた)と文事系の役方に分かれ(番方・役方),はじめは番方が重視されたが,泰平のためしだいに役方が重視されるにいたった。番方は江戸城の警備および将軍に随行警衛することを任務とし,これに大番,書院番,小性組番,新番,小十人組の5番があった。…
…江戸時代の幕府・諸藩の職制上の区分。武官の系統を番方,文官の系統を役方という。番方は常備軍として殿中・城門の守衛,城番,主君出行時の供奉などを職務とした。…
※「番方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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