家庭医学館 「旋毛虫症」の解説
せんもうちゅうしょう【旋毛虫症 Trichinosis】
線虫症(せんちゅうしょう)の1つです。幼虫は、全身の骨格筋に侵入し寄生します。
日本では、クマの肉を生食した猟師の人たちに、集団感染した例がほとんどです。
欧米では、自家製ソーセージなど、熱処理不十分な豚肉を食べて感染する例が多くみられます。
[症状]
最初は下痢(げり)、腹痛、発熱などですが、幼虫が横紋筋(おうもんきん)に入るようになると舌筋(ぜつきん)、咬筋(こうきん)、肋間筋(ろっかんきん)、腹筋(ふっきん)などの筋肉痛と眼瞼(がんけん)の浮腫(ふしゅ)(むくみ)がみられます。
重症の場合には、呼吸困難や心不全(しんふぜん)などがおこります。
[検査と診断]
初期には糞便(ふんべん)内から成虫や幼虫が検出されますが、その後は筋肉内の幼虫を見つけるのが診断の条件です。血液反応検査も診断に非常に役立ちます。
[治療]
メベンダゾールかチアベンダゾールを、3~5日間内服します。これらの薬によって、虫体がこわれると、アレルギー症状をおこすことがありますから、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンが併用されます。
生または加熱不十分な熊肉や豚肉を食べないことが予防法です。