日光二荒山神社(読み)につこうふたらさんじんじや

日本歴史地名大系 「日光二荒山神社」の解説

日光二荒山神社
につこうふたらさんじんじや

[現在地名]日光市山内

山内さんない最奥に祀られる本社、中禅寺ちゆうぜんじ湖北岸中宮祠ちゆうぐうしに祀られる中宮祠、男体山山頂に祀られる奥宮の総称。法人名は二荒山神社。旧国幣中社。祭神大己貴命田心姫命・昧耜高彦根命。別宮本宮ほんぐう神社・滝尾たきのお神社とともに、日光三社権現と称された。摂末社として若子じやつこ神社、ならびに日光連山の女峰によほう山・太郎たろう山・大真名子おおまなご山・小真名子こまなご山・赤薙あかなぎ山・前白根まえしらね山・奥白根おくしらね山の計七峰にそれぞれ神社が祀られており、日光の主峰男体山(二荒山)を含め八連峰を占める。それらの鎮座地を含め境内地は三四〇〇ヘクタールに及び、華厳けごん滝・いろは坂・戦場せんじようヶ原などが含まれる。

〔本社・別宮・摂末社〕

本社は古くは新宮とよばれ、現在は東照宮の西奥を占め、本殿拝殿社務所、西部の神苑には末社日枝神社・朋友みとも神社・大国だいこく殿・神輿舎が建つ。中宮祠は中禅寺湖北岸男体山登山口に、奥宮は男体山山頂に南面して祀られている。山頂には日光開山の勝道が初登頂の際二荒山の神と対面したとの伝説にちなむ対面たいめん石がある。山頂噴火口西方に末社太郎山神社が祀られている。古く奥宮は男体権現・男体本宮とよばれた。別宮本宮神社は神橋しんきようを渡った山内南東隅にある。本宮権現・太郎権現とも称され、男体山と女峰山の子神味耜高彦根命を祀る。勝道が初めて日光に入山し祀った社とされ、現在の本殿も遥かに二荒山を拝するように、裏側に扉が設けられた構造となっている。滝尾神社は山内最北奥に祀られ、妃神田心姫命を祭神とする。女峰山を拝し、その登り口にあたるところから、女体によたい権現・女体中宮・滝尾権現とも称された。境内入口に白糸しらいとの滝があり、上流には霊泉酒の泉の池がある。本殿裏手の霊域には三本杉の神木、滝尾の霊石安産子種あんざんこだね石、石鳥居うんだめしの鳥居、名物縁結びの笹など江戸期古図などにもみられる旧跡である。本宮神社と同様に本殿裏側には扉が設けられ、女峰山を遥拝できる建築様式となっている。若子神社は寂光じやつこう権現とよばれ、祭神は下照姫命。境内には寂光の滝がある。

〔創建〕

沙門勝道が天平神護二年(七六六)山菅の蛇やますげのじや(神橋)を渡って二荒大神を祀り(本宮)、天応二年(七八二)男体山に登頂し、山頂と山麓に二荒山権現を祀ったのが始まりとされる(「沙門勝道歴山水瑩玄珠碑并序」性霊集)。勝道と同様の山林仏徒による日光山への入山が、修験盛興を反映し盛んになっていたと考えられ、二荒山信仰を背景に霊山として注目されていたことになる。創建以前の信仰は二面あり、いずれも二荒山が霊山として崇拝されたことにかかわる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「日光二荒山神社」の解説

日光二荒山(ふたらさん)神社

栃木県日光市にある神社。奈良時代末の創建と伝わる。祭神は二荒山大神(大己貴命(おおなむちのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと))。下野国一之宮。1999年、「日光の社寺」として世界文化遺産登録

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の日光二荒山神社の言及

【二荒山神社】より

…栃木県日光市山内に鎮座。古く日光権現とよばれ,現在日光二荒山神社ともよぶ。二荒山に鎮まる神霊,二荒山大神すなわち大己貴(おおなむち)命,その妃田心姫(たごりひめ)命,子の味耜高彦根(あじすきたかひこね)命をまつる。…

※「日光二荒山神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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