日光市(読み)ニッコウシ

デジタル大辞泉 「日光市」の意味・読み・例文・類語

にっこう‐し〔ニツクワウ‐〕【日光市】

日光

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日本歴史地名大系 「日光市」の解説

日光市
につこうし

面積:三二〇・八九平方キロ

県北西端に位置し、東は今市市、南は鹿沼市・上都賀かみつが足尾あしお町、西は群馬県利根とね郡利根村・片品かたしな村、北は塩谷郡栗山くりやま村。那須火山帯の山岳地が大部分で、北に男体山・女峰によほう山などの火山群、西側に白根しらね山などの白根山塊、南に古生層の足尾山地があり、東は開けて、男体山南麓の中禅寺ちゆうぜんじ湖から大谷だいや川が東流し、今市扇状地へ続く。市域の九割を山林原野が占める。

〔原始・古代〕

大谷川と支流稲荷いなり川左岸の所野ところのと、山久保やまくぼ小来川の行おころがわのなめ川・くろ川流域に規模の小さい縄文時代の遺跡が二二ヵ所確認されている。早・前期の山の神戸やまのかみと遺跡(山久保)、早期末の住居跡、南関東と東北地方南部の土器が混在する前―後期のぬかるざわ遺跡(所野)と中―後期の南原みなみはら遺跡(東小来川)、亀ヶ岡式土器も発見された後・晩期の和泉いずみI(神原沢)遺跡(和泉)などがある。江の久保えのくぼ遺跡(所野)と和泉I遺跡から縄文時代のものと重複し、弥生時代中期の土器が出土している。奈良時代以降になると男体山・大真名子おおまなご山・女峰山・太郎たろう山の各山頂遺跡のような山岳遺跡と、生岡神社南いくおかじんじやみなみ遺跡(七里)本宮神社ほんぐうじんじや遺跡(山内)若子神社じやつこじんじや遺跡(日光)などにみられる平地の祭祀遺跡とがある。

日光山の開山は、沙門勝道歴山水瑩玄珠碑并序(性霊集)、「補陀洛山建立修行日記」などによると、勝道が補陀洛ふだらく(男体山)登頂を志し、天平神護二年(七六六)大谷川を渡って四本龍しほんりゆう(のち輪王寺)を建立、天応二年(七八二)に山頂をきわめ、延暦三年(七八四)には山麓の湖畔に中禅寺を建て、そばに権現(現二荒山神社中宮祠)を祀ったという。「続日本後紀」などには承和三年(八三六)から貞観一一年(八六九)の間に六度「二荒神」の叙位昇格の記事がみえるが、二荒神は日光説と宇都宮説があり、不明である。一一世紀頃の「大日本国法華経験記」(第五九古き仙の霊しき洞の法空法師)には下野国の山岳霊場として「二荒」の名がみえている。のち二荒の音を日光に当てたとされる。日光の初見は清瀧せいりゆう寺蔵の大般若波羅蜜多経の第四六巻奥書に、保延四年(一一三八)「日光山僧円乗文教房」が書写したとある。同七年の藤原敦光の「中禅寺私記」には、法華経一千部と大般若経六〇〇軸を納める堂舎や、丈六千手観音を安置した中禅寺などが記される。この頃には日光山は天台宗の影響下に繁栄をみせ、山内さんないには久安元年(一一四五)に比叡山延暦寺を模して常行じようぎよう堂が建立された。さらに保延元年・久寿二年(一一五五)・永暦二年(一一六一)二荒山神社(中宮祠)の社殿造営が行われたことが、のちの記録にみえる棟札写から推測される。


日光市
につこうし

2006年3月20日:日光市・今市市と塩谷郡栗山村・藤原町、上都賀郡足尾町が合併
【栗山村】栃木県:塩谷郡
【藤原町】栃木県:塩谷郡
【足尾町】栃木県:上都賀郡
【今市市】栃木県
【日光市】栃木県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日光市」の意味・わかりやすい解説

日光〔市〕
にっこう

栃木県北西部,帝釈山地南斜面から日光火山群に広がる市。鬼怒川上流域を占め,北で福島県に,西で群馬県に接する。 1954年日光町 (1889年町制) と小来川村が合体して市制施行。 2006年今市市,足尾町,藤原町,栗山村と合体。中心市街地の日光は奈良時代末期勝道上人が女峰山麓などに四本竜寺 (→輪王寺 ) ,二荒山神社を建立したのが起源。元和3 (1617) 年徳川家康をまつる東照宮 (国宝) が造営されてから参詣者が増加,以後は観光都市として発展。東照宮造営時の大工その他の職人が住みつき,現在に伝えられる漆器,木工品などの伝統工業の基礎を築いた。清滝には 1906年足尾銅山の精錬所が置かれた。戦場ヶ原の一部には第2次世界大戦後開拓農家が入植し,高原ダイコンの栽培に成功。近年はイチゴ苗の低温処理の圃場が急激に増加。市西部は奥日光と呼ばれ,日光国立公園を代表する地域で,湖畔が国の名勝に指定されている中禅寺湖,国の名勝の華厳滝男体山湯元温泉などがある。今市の日光杉並木街道は国の特別史跡・特別天然記念物。庚申山コウシンソウ (庚申草)自生地,奥鬼怒温泉郷の湯沢噴泉塔は国の天然記念物。東部に鬼怒川温泉がある。市域の一部は尾瀬国立公園前日光県立自然公園に属する。東照宮,二荒山神社,輪王寺は「日光の社寺」として,1999年世界遺産文化遺産に登録。戦場ヶ原を含む奥日光の湿原はラムサール条約に登録。 JR日光線,東武鉄道日光線,東武鉄道鬼怒川線,野岩鉄道,国道 119号線,120号線,121号線,122号線,461号線が通る。面積 1449.83km2。人口 7万7661(2020)。

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