日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本人の食事摂取基準」の意味・わかりやすい解説
日本人の食事摂取基準
にほんじんのしょくじせっしゅきじゅん
国民の健康の維持・増進などのために必要なエネルギーや栄養素の摂取量の目安を示したもの。健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき、厚生労働省が5年ごとに改定している。1959年(昭和34)に当時の科学技術庁が「日本人の栄養所要量」として、栄養失調にならないために必要な摂取基準を策定したのが始まりである。その後、1970年度版より厚生省(現、厚生労働省)へ移管され、2005年度(平成17)版から現名称に変更された。
年齢区分ごとに、エネルギーと栄養素の基準が設けられている。エネルギーについては、摂取量と消費量のバランスを維持するための指標として、BMIの目標値が示されている。成人期を三つに区分し、目標とするBMIの範囲が示されることにより、測定時の体格の状態に応じて食事量の不足や過剰を判定できる。なお、2015年度版では、2010年度版まで目安としてきた1日当りで必要となる推定エネルギー量は、体格の違いなどによって適切でない場合を考慮し、参考値として提示されている。栄養素については、摂取不足を回避するための推定平均必要量と、充足量の目安となる推奨量(または目安量)が示され、必要に応じて過剰摂取を避けるための目標量(または耐容上限量)が提示されている。生活習慣病の予防のため、ナトリウムの目標量が低く提示されているほか、小児期からの生活習慣病予防を目的に、植物繊維とカリウムについては、6歳から目標量が設定されている。
この基準は学校給食での推奨摂取量として用いられるほか、公共や民間の施設で提供される食事や食事指導に用いられる。また、対象については、健康な個人・集団としており、このなかには、高血圧や脂質異常、高血糖、腎(じん)機能低下に関して保健指導レベルにある者までが含まれる。
[編集部]