日清紡績(読み)にっしんぼうせき

百科事典マイペディア 「日清紡績」の意味・わかりやすい解説

日清紡績[株]【にっしんぼうせき】

通称日清紡。繊維を主力とする名門紡績会社で,テキスタル分野の国内トップ。1907年輸入紡績機械による高級綿糸製造を目的に設立。1920年の岡崎紡績買収手始めに,地方紡績会社を次々と買収・合併した。かつて五大紡の一つに数えられた。戦前の社長・宮島清次郎吉田茂同窓で,戦後,大物財界人として君臨。終戦後の社長・桜田武日経連会長に就任。近年ブレーキ,紙製品など非繊維部門に力を注ぎ,収益の柱に育つ。バイオ分野にも参入。ABSブレーキ技術は世界でも評価が高い。2009年持株会社日清紡ホールディングスに移行。本社東京,工場島田富山,名古屋など。2011年資本金275億円,2011年3月期売上高3255億円。売上構成(%)は,繊維18,ブレーキ14,紙10,精密機器10,化学品2,エレクトロニクス35,不動産4,その他8。海外売上比率27%。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日清紡績」の意味・わかりやすい解説

日清紡績(株)
にっしんぼうせき

綿、化合繊を中心とした繊維会社。通称「日清紡」。1907年(明治40)設立。1937年(昭和12)には紡機70万錘余、織機7000台余を擁し、「五大紡」の一つに数えられるに至った。第二次世界大戦時には紡織部門の縮小を余儀なくされたが、反面、航空機用ブレーキ製品への生産転換は、戦後の自動車ブレーキ部門や製紙部門(航空機用ブレーキ・ライニングの素材は石綿紙)への多角化起点となった。戦後は、繊維原料製造からの一貫生産体制を目ざした多くの同業他社と異なり、紡績以降の繊維加工面に強力な地盤を確立することを目標に置く堅実な経営を展開。最近では家庭紙にも力を入れる。資本金276億円(2008)、売上高1319億円(2008)。浜松、島田(静岡県)などに事業所をもつ。

[橘川武郎]

『日清紡績株式会社編・刊『日清紡績六十年史』(1969)』『日清紡績株式会社編・刊『日清紡100年史 1907-2007』(2007)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日清紡績」の意味・わかりやすい解説

日清紡績
にっしんぼうせき

紡績会社。創立は 1907年で,多くの合併吸収を経て発展。紙,ブレーキライニング,ウレタンフォーム工作機械などの非繊維部門を拡充。 88年日清紡を呼称とする。売上構成比は,綿 33%,化合繊 17%,その他 50%。年間売上高 2268億円 (連結。うち輸出9%) ,資本金 275億 8700万円,従業員数 4935名 (1999) 。

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