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旧敵国条項 きゅうてきこくじょうこう

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知恵蔵2015の解説

旧敵国条項

第2次世界大戦中に連合国の敵であった枢軸諸国(日独伊など)を対象に、安全保障面で特別の過渡的規定を盛り込んだ国連憲章第107条及び53条の別名。憲章には武力行使の禁止(第2条4項)や集団的武力行使権限の安保理への集中化(第42、46、48条など)などの規定があるが、第107条によれば、旧敵国に対する行動に関する限り、旧連合国はそれに拘束されない。つまり、「第2次大戦の結果としてとる行動」の範囲内(例えば再侵略の防止)である限り、旧敵国に対して自由な武力行使が可能である。同じく第53条は、地域的取極(とりきめ)(軍事同盟など)が強制行動(侵略の撃退など)を起こす際にも、本来ならば必要な安保理の許可が、旧敵国に対する措置である限りは不要とするもの。実際的な意味はあまりなく、こうした差別性は国連憲章の主権平等原則に反するという見方もある。日本がその削除を強く主張し、1995年に総会の憲章特別委員会及び第6委員会(法律問題)が削除を決議したのを受けて、同年12月、総会も削除決議を採択した。ただし、実際に削除されるには憲章の改正手続きが必要。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

きゅうてきこく‐じょうこう〔キウテキコクデウカウ〕【旧敵国条項】

国連憲章で、第二次大戦連合国の敵に回った日本・ドイツイタリアなど7か国に対する差別を認めた条項。1995年、国連総会で該当する項目の削除が決議された。
[補説]旧敵国に対する強制行動については安全保障理事会の承認を不要とする(第53条)、連合国が行った講和条約などの戦後処理を国連が排除しない(第107条)などの条項があった。

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大辞林 第三版の解説

きゅうてきこくじょうこう【旧敵国条項】

第二次大戦で連合国の敵であった日本・ドイツ・イタリアなどに対して、安全保障面において例外的な行動を認めた国連憲章のなかの条項。旧敵国に対する自由な武力行使を認めたもので、第一〇七条や第五三条がこれにあたる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

旧敵国条項
きゅうてきこくじょうこう

国際連合憲章中にある条項で、第53条、第77条1項b、第107条に規定がある。旧敵国とは、第二次世界大戦中連合国の敵国であった日本、ドイツ、イタリアなどの国をさす。条項の主旨は、「旧敵国からの侵略に備える地域的取極に基づいてとられる強制行動は、安全保障理事会の許可を必要とせず、安全保障理事会への報告だけで足りる(第53条1項後段)」ということである。この条項は、第二次大戦中における枢軸国(日本、ドイツ、イタリア、およびこの3国の側にたった交戦国)の侵略政策の再現に備えて設けられたもので、国連の枠外で紛争解決のための強制行動が随意にとられることは平和の維持を危うくするため、強制行動を安全保障理事会の統制下に置いている憲章のなかで、第51条の集団的自衛権とともに例外をなす。戦後ソ連が東欧諸国と結んだ相互援助条約などはこの条項を根拠としていた。しかし、この条項は過渡的性格のもので、国連発足後半世紀を経た今日、もはや実質的意義を失ったとみるべきであろう。
 1995年の第50回国連総会では憲章特別委員会勧告による旧敵国条項の改正・削除が賛成155、反対0、棄権3で採択、日本政府にとって懸案であった同条項の削除が正式に約束された。ただし憲章改正は安全保障理事会5か国を含む加盟国3分の2以上に批准されたうえでの発効となっており、さらに安保理改革問題との関連もあるため、改正にはまだかなりの時間を要するとみられている。[香西 茂]

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