知恵蔵 「普門館」の解説
普門館
70年、美空ひばりや森進一がこけら落とし公演を開催。その後も音楽以外でも各種のイベント、公演などに幅広く利用されている。会場が広く、音楽専用ホールとしてつくられたわけではないため、音の反響が良くないという評価もある。77年にヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演が行われたが、79年に再来日公演が行われた際に、カラヤン自身がドイツの音響アドバイザーに反響板の変更を依頼したこともあった。
普門館の「普門」とは、法華経の中に出てくる言葉で、全ての人に門を開くという意味。デザインも法華経に由来しており、真上から建物を見ると、自然の調和など「和」の精神を大切にする信仰姿勢を表す2つの円を重ね合わせた形をしている。また、屋上には3本の鉄塔が建っているが、これは三法印という教えを表現したもの。28本の外柱と28枚の外壁は法華経の経典が28品(ほん)から成り立つことを示しているという。また、舞台上で顔が映えるようにと、舞台床が黒色なのも有名。
2012年より耐震性能に問題がみられ、改修のため使用を中断していたが、13年11月に立正佼成会が耐震改修や建て直しを断念したため、今後の使用はできなくなった。
(富岡亜紀子 ライター / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報