中国、明(みん)末の僧。江蘇(こうそ)省蘇州の人。姓は鍾(しょう)氏、字(あざな)は藕益(ぐうやく)。八不道人(はっぷどうじん)と号する。幼少のころから儒学を修め、20歳を過ぎて仏門に帰した。一宗一派に属することをよしとせず、その思想的関心は多方面にわたっている。天台、華厳(けごん)、唯識(ゆいしき)、禅、念仏、律に及び、しかもこれらに儒教を加えて、内外いっさいの教えが対立・排斥しあうものではないという見解にたつ。すべてが調和し、融会(ゆうえ)するというのが彼の見解の基本である。とりわけ、禅=達磨(だるま)禅、天台の教門、律=南山律に注目し、三学の一元を提唱する。『閲蔵知津(ちしん)』48巻など著書は多い。
[新田雅章 2017年3月21日]
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…中国,明末の僧。八不道人,始日大師ともよぶ。憨山(かんざん),雲棲,達観とあわせて,明代四高僧に数える。呉県木瀆(もくとく)(江蘇省中部)の人,姓は鍾,名は際明,字を素華という。憨山の禅,雲棲の浄土教をうけて,主として天台と律によって,仏教の総合再編につとめた。禅教離反,各宗偏向を排して,《大蔵経》の要義をあつめて,《閲蔵知津》をつくる。晩年,杭州西湖の霊峰にあり,門人成時がその説を集めて《霊峰宗論》を編する。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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