東吉野(読み)ひがしよしの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東吉野」の意味・わかりやすい解説

東吉野(村)
ひがしよしの

奈良県中東部、吉野郡の村。1958年(昭和33)小川、四郷(しごう)、高見の3村が合併して成立。東は三重県に接し、台高(だいこう)山脈の高見山、国見山などが連なり、高見峠は伊勢(いせ)南街道(国道166号)の要所であった。中央部を東西に走る中央構造線に沿って吉野川上流の高見川が西流し、高見川、その支流鷲家(わしか)川、四郷川沿いに集落耕地が開ける。産業は集約経営の吉野林業が主で、杉材、檜(ひのき)材を産出し、磨(みがき)丸太の生産が盛ん。チャや野菜、イモ栽培も行われる。中心地区の鷲家は伊勢南街道の宿場町で、天誅(てんちゅう)組の吉村虎太郎(とらたろう)の墓がある。丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)中社の石灯籠(いしどうろう)は国指定重要文化財、境内のツルマンリョウ自生地は国指定天然記念物。興禅寺薬師如来(にょらい)坐像も国指定重要文化財。高見山などは室生赤目青山(むろうあかめあおやま)国定公園域。面積131.65平方キロメートル、人口1502(2020)。

[菊地一郎]

『『東吉野村郷土誌』(1972・東吉野村)』『『東吉野村史』全3巻(1990~1992・東吉野村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「東吉野」の意味・わかりやすい解説

東吉野[村] (ひがしよしの)

奈良県中東部,吉野郡の村。人口2143(2010)。東は高見山などの台高山脈の山々によって三重県と接し,中央部を走る中央構造線沿いに吉野川の支流高見川が西流する。標高200~700mにかけて集落が点在するが,耕地はほとんどなく,杉,ヒノキの人工美林地帯が広がる。林業が基幹産業で,特にみがき丸太の生産が盛ん。就業人口の1/5は林業に従事するが,近年,若年労働者が流出し労働力不足が深刻である。中心集落は小川で,かつて鷲家口(わしかぐち)とよばれ,近世には伊勢街道の要地であり,天誅組最後の決戦場としても知られる。小(おむら)に丹生川上(にゆうかわかみ)神社中社があり,境内のツルマンリョウ自生地は天然記念物に指定されている。村域の一部は室生赤目青山国定公園に含まれ,高見山一帯の霧氷や高見川の渓谷美は有名。国道166号線が通じる。
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