霧氷(読み)ムヒョウ

デジタル大辞泉 「霧氷」の意味・読み・例文・類語

む‐ひょう【霧氷】

気温氷点下のとき、樹木地物に、空気中の水蒸気過冷却水滴が吹きつけられて昇華または凍結してできる氷。生じ方により樹霜樹氷粗氷に分けられる。 冬》
[類語]樹霜樹氷粗氷

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精選版 日本国語大辞典 「霧氷」の意味・読み・例文・類語

む‐ひょう【霧氷】

  1. 〘 名詞 〙 氷点下の雲や霧が樹枝などに氷層となって付着する現象。樹霜・樹氷・粗氷の三種がある。《 季語・冬 》 〔大増補改訂や、此は便利だ(1936)〕
    1. [初出の実例]「燦爛たる霧氷の原に麺麭を食ふ」(出典:七曜(1942)〈山口誓子〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧氷」の意味・わかりやすい解説

霧氷
むひょう

冷たい霧や雲が樹木や建物などに吹き付けたとき、表面に付着する氷。細かい水の粒は過冷却になりやすく、0℃より低温でも水のままである。これが風で運ばれて物体の表面に付着すると、凍結をおこす。粒の大きさと数、温度、風速と付着面の捕捉(ほそく)率によりいろいろのものができるが、樹氷、粗氷、樹霜に分類される。樹氷は白色不透明のもろい氷で、風に向かって成長し、羽毛うろこ、えびの尾などの形になる。よくみると、微細な氷の粒が積み重なっている。平地よりも山地で、風が強いときできやすい。粗氷は霧氷ほどもろくない不透明な氷層で、表面はやや滑らかである。内部には多くの気泡が入っている。水の粒が比較的大きく、気温が0℃に近い場合にできる。氷点下10℃くらいになると、発生はまれである。飛行機の翼への着氷は、樹氷あるいは粗氷が多い。樹霜は、細かい氷の粒も混じっているが、霜に似た氷の結晶が数多くくっつきあったものである。成長して小さい木の枝の形になることもある。過冷却の水の粒が物体の表面近くで水蒸気に変わり、昇華してできる。風が強くない晴れた夜から早朝にかけて霧が発生した際など、樹木や地物の風上側にできやすい。樹氷の側面に付着することもある。

[篠原武次]

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改訂新版 世界大百科事典 「霧氷」の意味・わかりやすい解説

霧氷 (むひょう)
air hoar and rime

主として地表付近の気温が0℃以下になったとき,樹木や地物の表面に大気中の水蒸気が直接昇華したり,または過冷却雲粒が付着し凍結してできた氷。でき方によって,樹霜,樹氷,粗氷に分けられる。(1)樹霜air hoar おもに水蒸気の昇華によって樹木などにできる針状,板状,樹枝状をした氷の結晶。冬の晴れた夜,地面近くが放射冷却によって気温が下がったときに地物や樹木の風上側に成長しやすい。(2)樹氷soft rime おもに過冷却雲粒が冷たい樹木や地物に次々に衝突し,瞬間的に凍った白色不透明の根元が細く扇形のもろい氷で,その形から〈えびのしっぽ〉と呼ばれることがある。あられのでき方と同じと考えてよい。(3)粗氷hard rime 過冷却雲粒が衝突してできるのは樹氷と同じであるが,半透明か透明に近い,堅い氷で,気温が0℃に近いときによくでき,粗氷はひょうのでき方に似ている。粗氷のできる条件よりもさらに気温が高く,霧雨や雨滴が付着すると瞬間的に凍りきれず,徐々に凍り透明な氷になる。これはとくに雨氷glazeと呼んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霧氷」の意味・わかりやすい解説

霧氷
むひょう
rime

氷点下ののとき,樹木や露出した地物につく白色または半透明の氷。寒地冬山でみられ,水蒸気の昇華によって生じる樹霜,過冷却した霧粒によってできる樹氷,気温が-2~-10℃の間で過冷却の霧粒が地物に吹きつけられてできる粗氷の 3種がある。宮城県・山形県境の蔵王山の樹氷は有名

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百科事典マイペディア 「霧氷」の意味・わかりやすい解説

霧氷【むひょう】

気温が0℃以下のとき,空気中の過冷却水滴または水蒸気が地物に衝突し凍結または昇華してできる付着氷の総称樹氷,粗氷,樹霜の3種類がある。粗氷とは気温が0℃に近く水滴が比較的大きいときにできる透明に近い氷。樹霜とは水蒸気が昇華してできたもの。
→関連項目着氷

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デジタル大辞泉プラス 「霧氷」の解説

霧氷〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は男性歌手、橋幸夫。1966年発売。作詞:宮川哲夫、作曲:利根一郎。第8回日本レコード大賞受賞。

霧氷〔小説〕

夏樹静子の長編小説。1976年刊行。

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世界大百科事典(旧版)内の霧氷の言及

【樹氷】より

…主として地表付近の気温が0℃以下になったとき,樹木や地物の表面に大気中の水蒸気が直接昇華したり,また過冷却雲粒が付着し凍結してできた氷を総称して霧氷というが,氷のでき方によって,樹霜,樹氷,粗氷の3種に分けられる。樹氷は過冷却雲粒が冷たい樹木や地物につぎつぎに衝突し,瞬間的に凍り,たくさんの氷の粒からなる白色不透明の氷で,あられのでき方と同じと考えてよい。…

【着氷】より

…大気中の水蒸気が物体に昇華したり,また主として過冷却雲粒や水滴が物体に付着し凍結してできた氷,およびその現象。したがって着氷には,そのでき方によって霧氷の過程をとるものと雨氷の過程をとるものがあるが,一般には後者の場合をいうことが多い。過冷却雲中を飛行中の航空機への着氷は,揚力やプロペラの効率を減じ,最も危険視されている(航空気象)。…

※「霧氷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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