丹生川上神社(読み)ニウカワカミジンジャ

デジタル大辞泉 「丹生川上神社」の意味・読み・例文・類語

にうかわかみ‐じんじゃ〔にふかはかみ‐〕【丹生川上神社】

奈良県吉野郡にある神社川上村にある上社東吉野村にある中社下市町にある下社の総称。旧官幣大社祭神は上社に高龗神たかおかみのかみ、中社に罔象女神みずはのめのかみ、下社に闇龗神くらおかみのかみ古来水神雨乞いの神として信仰された。

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精選版 日本国語大辞典 「丹生川上神社」の意味・読み・例文・類語

にうのかわかみ‐じんじゃにうのかはかみ‥【丹生川上神社】

  1. 奈良県吉野郡にある神社。旧官幣大社。上社(川上村)・中社(東吉野村)・下社(下市町)の三社に分かれる。天武天皇四年(六七五)の創建と伝えられる。祭神は高龗神(たかおかみのかみ)で、祈雨・五穀豊穰の神として崇敬される。中社はふつう、雨師明神といわれる。にぶのかわかみじんじゃ。

にぶのかわかみ‐じんじゃにぶのかはかみ‥【丹生川上神社】

  1. にうのかわかみじんじゃ(丹生川上神社)

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日本歴史地名大系 「丹生川上神社」の解説

丹生川上神社
にうかわかみじんじや

「延喜式」神名帳の吉野郡に「丹生川上神社名神大、月次新嘗」とみえる。天武天皇四年「不聞人声之深山吉野丹生川上、立我宮柱以敬祀者、為天下降甘雨止霖雨」との神宣によって創祀されたと伝える(二十二社註式)。「続日本紀」天平宝字七年(七六三)五月二八日条に「奉幣帛于四畿内群神、其丹生河上神者加黒毛馬、旱也」、「延喜式」臨時祭に「丹生川上社、貴布禰社各加黒毛馬一疋、(中略)其霖雨不止祭料亦同、但馬用白毛、凡奉幣丹生川上神者、大和社神主随使向社奉之」、「大倭神社註進状」に「此神者雨師神也祈雨止霖雨奉幣」とある。古来朝廷の崇敬厚く、弘仁九年(八一八)従五位の神階を授けられ(「日本紀略」同年四月二四日条)、以後累進して寛平九年(八九七)には従二位に進んだ(大倭神社註進状)

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改訂新版 世界大百科事典 「丹生川上神社」の意味・わかりやすい解説

丹生川上神社 (にゅうかわかみじんじゃ)

奈良県吉野郡に鎮座し,3社にわかれる。古くは1社であった。上社は川上村迫に鎮座し,高龗(たかおかみ)神をまつり,中社は東吉野村小(おむら)に鎮座し,罔象女(みずはのめ)神をまつり,下社は下市町長谷に鎮座し,闇龗(くらおかみ)神をまつる。創建年代不詳。丹生の川上にあって,古くより水神,雨師神,雨乞いの神として信仰され,763年(天平宝字7)より応仁の乱ころまでに,朝廷の祈雨・止雨の祈願約100回が記録されており,平安時代には京都の貴船神社とともに,祈雨には黒馬を献じ,止雨には白馬を献じて祈願されるのを例とした。773年(宝亀4)封戸4烟を寄せられ,818年(弘仁9)従五位下,897年(寛平9)従二位に叙され,延喜の制で名神大社,月次,新嘗の官幣をうけ,平安末期には二十二社の一とされた。中世以降しだいに衰微し,ついにその社地すら知られなくなったが,近世初頭,現在の下社の地が旧社地として復興した。しかし,明治になり,《類聚三代格》にみえる895年の太政官符の四至より,上社の地を本来の地とし,さらに大正に入り,中社の地を本来の地と比定,現在のごとくまつることとした。旧官幣大社。例祭は上社10月8日,中社10月16日,下社6月1日,10月14日。中社に〈丹生社,弘長三年〉銘,すなわち1263年造の石灯籠1基がある。
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丹生川上神社 (にうかわかみじんじゃ)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丹生川上神社」の意味・わかりやすい解説

丹生川上神社
にうかわかみじんじゃ

奈良県吉野郡に鎮座し、現在、上(かみ)・中(なか)・下(しも)三社に分かれる。上社は川上村大字迫(さこ)。祭神は高龗(たかおかみ)神。例祭10月8日。中社は東吉野村小(お)。祭神は罔象女(みずはのめ)神。例祭10月16日。下社は下市(しもいち)町長谷(ながたに)。祭神は闇龗(くらおかみ)神。例祭6月1日、10月14日。朝廷のあった大和(やまと)盆地の水源地に位置した本社は、古来、水神・雨乞(あまご)いの神として信仰され、奈良時代以降応仁(おうにん)の乱までの間、100回余の朝廷の祈雨・止雨の祈願があり、延喜式内名神(えんぎしきないみょうじん)大社に列し、二十二社の一つでもあった。中世以降は衰微し、社地も不明となったが、江戸期に現在の下社が旧社地とされ、明治になって現上社が、さらに1923年(大正12)現中社が本来の社地と比定され、これら三社を合して一社として官幣大社となった。45年(昭和20)終戦以降は各社それぞれ独立の宗教法人となった。

[牟禮 仁]

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百科事典マイペディア 「丹生川上神社」の意味・わかりやすい解説

丹生川上神社【にゅうかわかみじんじゃ】

奈良県吉野郡にある上・中・下3社の総称。上社は川上村,中社は東吉野村に,下社は下市町に鎮座。3社とも旧官幣大社。上社はタカオカミ神,中社はミズハノメ神,下社はクラオカミ神を祭神とする。675年の鎮祭と伝える。延喜式内の名神大社とされる。中社は雨師の明神,蟻通(ありとおし)明神と俗称され,3社とも雨乞いと長雨のやむのを祈る神として,特に京都の貴船神社と並び広く信仰されている。例祭は上社は10月8日,中社は10月16日,下社は6月1日。
→関連項目下市[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丹生川上神社」の意味・わかりやすい解説

丹生川上神社
にうかわかみじんじゃ

上社は川上神社ともいい,奈良県吉野郡川上村迫 (さこ) に鎮座する。祭神はタカオカミ,例祭 10月8日。中社は雨師 (うし) の明神,蟻通さんとも呼ばれ,同郡東吉野村に鎮座する。祭神はミズハノメガミ,例祭 10月 16日。下社は丹生社ともいい,同郡下市町に鎮座する。祭神はクラオカミ,例祭6月1日。3社合せて元官幣大社で,祈雨止雨の神社として知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の丹生川上神社の言及

【丹生川上神社】より

…奈良県吉野郡に鎮座し,3社にわかれる。古くは1社であった。上社は川上村迫に鎮座し,高龗(たかおかみ)神をまつり,中社は東吉野村小(おむら)に鎮座し,罔象女(みずはのめ)神をまつり,下社は下市町長谷に鎮座し,闇龗(くらおかみ)神をまつる。創建年代不詳。丹生の川上にあって,古くより水神,雨師神,雨乞いの神として信仰され,763年(天平宝字7)より応仁の乱ころまでに,朝廷の祈雨・止雨の祈願約100回が記録されており,平安時代には京都の貴船神社とともに,祈雨には黒馬を献じ,止雨には白馬を献じて祈願されるのを例とした。…

※「丹生川上神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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