松例祭(読み)しょうれいさい

精選版 日本国語大辞典 「松例祭」の意味・読み・例文・類語

しょうれい‐さい【松例祭】

  1. 〘 名詞 〙 山形県東田川郡羽黒町にある出羽三山神社例祭。一月三一日から二月一日(古くは大晦日から元日)に、昭和三七年(一九六二)以後はふたたび大晦日から元日に行なわれる。斎館で一〇〇日間精進潔斎した二人の松聖(まつひじり)が、大松明(たいまつ)害虫を封じこめる祈願をし、指定の場所でそれを焼き捨てさせることを中心に、さまざまの儀式が行なわれる。歳夜祭(としやまつり)。冬の峰。《 季語・冬 》

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松例祭」の意味・わかりやすい解説

松例祭
しょうれいさい

山形県鶴岡市の出羽三山神社(→出羽三山)で 12月31日から元旦にかけて行なわれる祭り。主役は手向集落から選ばれた 2人の松聖(まつひじり)で,位上(いじょう),先途(せんど)と呼ばれ,9月末から 100日間,中に五穀を入れた興屋聖(こうやのひじり)と呼ばれるわらの祠(ほこら)をまつって斎戒する。祭りは,集落の若者たちや山伏修験者)が位上方と先途方の 2組に分かれ,競い合うかたちで行なわれる。31日の午後,それぞれ「つつが虫」と呼ばれる大松明の綱を 2尺(約 60cm)に切って参詣者にまき,夕刻には大松明を引き出すために良い綱を得ようと口上を競い合う「綱さばき」がある。午後11時頃からは,二手に分かれた山伏たちが,月山の神とされる白兎姿の山伏の前で跳躍してその優劣を競う「烏飛び」がある。その頃,境内では,若者たちが大松明を競争で引き出して燃やす「大松明焼き」が行なわれ,山伏による「国分け」となる。午前0時に,「松打ち」と呼ばれる 2人の山伏が競って火をきり出す「火の打ち替え」が行なわれ,その後,大松明焼きの結果も合わせて勝敗が判定されて,祭りは終わる。位上方が勝てば豊作,先途方が勝てば豊漁とされ,勝った方の興屋聖の籾(もみ)は,開山堂などを介して農家に配られる。

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