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松永良弼 まつながよしすけ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

松永良弼
まつながよしすけ

[生]?
[没]延享1(1744)
江戸時代中期の和算家。旧姓寺内,通称を平八郎,権平,安右衛門といい,東岡,龍池,探玄子,葆真斎,東溟と号した。久留米に生れ,江戸に出て,関孝和の高弟荒木村英に学び,孝和の遺業を整理・発展させて,関流と称される和算の体系を組織し,関流宗統2伝 (荒木村英が初伝) についた。弟子の山路主住のときには,関流免許の5段階が制定された。良弼は,円理を発展させて円の弦,矢,弧背の関係を明らかにした。すなわち,三角関数の級数展開を得たのである。1度ごとの三角関数表は建部賢弘が完成していたが,彼は (百分の) 十分の表をつくり,11桁の真数表を計算した。元文1 (1736) 年の『割円十分標』がそれである。ほかに『方円算経』『緯老餘算』『算法集成』 (9巻) ,『算法類聚』 (10巻) など撰著が多い。円裁極背術を解いた久留島義太 (?~1757) との親交が厚く,彼の推挙により,算学師範として日向延岡藩主内藤政樹に仕えた。この藩主の命により,帰源整法といっていた算法を点竄術 (てんざんじゅつ) と良弼が改めたという。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

松永良弼 まつなが-よしすけ

?-1744 江戸時代中期の和算家。
享保(きょうほう)17年陸奥(むつ)平藩(福島県)藩主内藤政樹につかえる。荒木村英(むらひで)にまなび,関流算法を集大成。円に関する理論,円周率の小数49位までの値をのせた「方円算経」や「算法集成」などをあらわした。延享元年6月23日死去。筑後(ちくご)(福岡県)出身。初名は寺内平八郎。通称は権平,安右衛門。号は東岡,源翼,探玄子など。

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朝日日本歴史人物事典の解説

松永良弼

没年:延享1.6.23(1744.8.1)
生年:生年不詳
江戸中期の和算家。荒木村英に和算を学んで関流の正統を継承(第二伝)したといわれるが,建部賢弘中根元圭の数学をも総合して関流を確立したと考えるべきである。享保17(1732)年より平藩主内藤政樹に仕える。久留島義太も同藩に仕えていた。松永の功績は多岐にわたるが,多くは先駆者の関や建部の業績の完全化である。円理の公式として三角関数,逆三角関数の展開式を導いているのが著名。他に角術(正多角形の理論)の拡張,整数論的問題の着手などがある。関流の記号代数が「点竄術」と呼ばれたのは彼のころからである。晩年,荻生徂徠が和算を無用なものと批判したのに奮起して実用数学を強調したが,いたずらに難問追究に走った当時の和算界を考えれば,松永の意気込みは高く評価される。50歳を過ぎたばかりで没した。<参考文献>平山諦・内藤淳編『松永良弼』,日本学士院編『明治前日本数学史』2巻

(佐藤賢一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

まつながよしすけ【松永良弼】

1690ころ‐1744(元禄3ころ‐延享1)
江戸中期の数学者。初め寺内平八郎,のちに松永権平,さらに安右衛門に改む。東岡,探玄子,葆真斎などたくさんの号をもつ。久留米の有馬頼徸や磐城の平城主内藤政樹に仕える。関孝和の弟子荒木村英に数学を教わる。中根元圭の助けにより建部賢弘の数学を知り,親友久留島義太の協力をえて,当時の数学を大きく飛躍させるとともに,集大成した。彼には多くの著書があるが,1739年(元文4)にまとめた《方円算経》はとくに有名で,円に関する理論,正多角形の辺と対角線の関係,その他の理論がくわしく解説されている。

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大辞林 第三版の解説

まつながよしすけ【松永良弼】

1690頃~1744) 江戸中期の数学者。関孝和・建部賢弘・中根元圭の数学を統一し、関孝和を祖とする関流を確立。主著「方円算法」には三角関数の級数展開などが示されている。

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世界大百科事典内の松永良弼の言及

【円理】より

…これ以後,無限級数展開を円理,あるいは綴術というようになった。松永良弼は,三角関数,逆三角関数の無限級数を《方円算経》(1739)の中で示した。これらの級数も円理と呼ばれる。…

【関流】より

…関流というのは,関孝和の弟子,あるいは孫弟子に教わったという意味である。関流という名称を初めて使ったのは関孝和の孫弟子松永良弼で,松永の弟子山路主住から関流何伝というようになった。初伝荒木村英,2伝松永良弼,3伝山路主住,4伝安島直円,藤田貞資,5伝日下誠,6伝和田寧,内田五観と続く。…

【和算】より

…彼は暦算の助手として京都の中根元圭を呼び,吉宗に推挙した。中根は,建部の業績を松永良弼(1690ころ‐1744)や久留島義太(?‐1757)に伝えた。久留島は天才と呼ばれるにふさわしい数学者であるがまとめることをせず,親友の松永の著作中にその多くが含まれていると思われる。…

※「松永良弼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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