江戸中期の暦学者,数学者。幼名は久次郎,通称弥左衛門,字は君樹,号は聴雨,または連貝軒という。幕府の天文方で,渋川六蔵および西川忠次郎の作暦の手助けをする。主住は,中根元圭,久留島義太,松永良弼らに学び,関流の数学書が彼のところに集まった。関流の入門書は山路によって整理された。有馬頼徸の保護を受け,弟子の藤田貞資を有馬に推薦する。弟子には,有馬のほか安島直円,戸板保佑,松永貞辰ら多くの秀才がいる。子孫は代々天文方に仕え,山路家の名を高めた。山路は宝暦甲戌暦の作製者の中心となったが,この暦の評判はよくなかった。山路には数学の大きな業績はないが,循環小数の研究は名高い。《一算得商術》の中で,整数の逆数を小数になおしたとき,その循環節の桁数を決定する方法を述べている。これらのほか多角形の辺と対角線の関係式や方陣の研究なども残している。
執筆者:下平 和夫
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(内田正男)
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江戸中期の数学者。幼名久次郎、のちに弥左衛門、字(あざな)は君樹、号は連貝軒または聴雨。数学、暦学を中根元圭、松永良弼(よしすけ)、久留島義太(くるしまよしひろ)に学ぶ。渋川六蔵、西川正休(まさよし)の作暦の助手となる。弟子の藤田貞資(さだすけ)、安島直円(あじまなおのぶ)を手伝わせて宝暦甲戌暦(ほうれきこうじゅつれき)をつくる。主住は有馬頼徸(ありまよりゆき)ほか多くの数学者を育てた。刊行書はないが、循環小数についての論文「一算得商術」などが伝えられている。山路家は代々天文方に仕えた。
[下平和夫]
…関流というのは,関孝和の弟子,あるいは孫弟子に教わったという意味である。関流という名称を初めて使ったのは関孝和の孫弟子松永良弼で,松永の弟子山路主住から関流何伝というようになった。初伝荒木村英,2伝松永良弼,3伝山路主住,4伝安島直円,藤田貞資,5伝日下誠,6伝和田寧,内田五観と続く。…
…久留島義太は桂馬飛びの方法と簡単な並べ方を,安島直円はフランクリン型を発見した。山路主住の五方陣,会田安明の四方陣変換の研究が著しい。【平山 諦】
【中国】
中国での歴史は古く縦横図とよばれた。…
…一方,関西では鎌田俊清(1678‐1747)が《宅間流円理(たくまりゆうえんり)》(1722序)をまとめ,arcsinxやsinxのべき級数展開を示している。
[有馬頼徸]
松永良弼の弟子山路主住(1704‐72)は,中根元圭,松永良弼,久留島義太の業績を受け継いで,これを弟子に伝えた。彼自身の業績としては循環小数の研究がある。…
※「山路主住」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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