柏原郷(読み)かしわはらごう

日本歴史地名大系 「柏原郷」の解説

柏原郷
かしわはらごう

和名抄」諸本にみえる郷名。東急本に「加之波々良」の訓がある。大宝令施行以前の藤原宮跡出土木簡(「藤原宮木簡」一―二一一)に「(河カ)評柏原里玉作」とみえるのは当郷であろう。天平七年(七三五)一〇月の平城京跡出土木簡(「平城宮木簡概報」二二―二三頁)に「駿河郡柏原郷小林里」とみえる。郷里制下の里として小林こばやし里・浮島うきしま里がある。比定地については、(一)浮島船津ふなつ付近(現富士市船津付近)とする説(旧版「静岡県史」)、(ニ)元吉原もとよしわら(現富士市鈴川・東柏原新田・中柏原新田・西柏原新田などの一帯)とする説(大日本地名辞書)、(三)現富士市江尾えのお増川ますがわ川尻かわしり沼田新田ぬまたしんでん中柏原新田なかかしわばらしんでん・西柏原新田とする説がある(日本地理志料)


柏原郷
かしわばらごう

「豊後国風土記」にみえる郷。同風土記は「郡の南にあり。昔者、此の郷に柏樹多く生える。因って柏原郷と曰う」との地名起源を載せる。しかし「和名抄」には記載がない。訓は「和名抄」駿河国駿河郡の同名郷に「加之波々良」とあるのが参考となる。郷内には禰疑野ねぎの蹶石野けいしの柏峡かしわおの大野などの原野峡谷が広がっていた。現在のおぎ柏原かしわばるが遺称地であるが、現竹田市菅生すごうなども当郷に含まれていたと考えられる。


柏原郷
かしわばらごう

「和名抄」所載の郷。高山寺本・東急本ともに訓を欠く。東急本は駿河国駿河郡柏原郷を「加之波々良」と訓ずるのでこれに従う。「播磨国風土記」に柏原里がみえる。地名は柏が多く生えていることによると記される。里内に筌戸うえと(筌戸川)があり、伊和大神出雲より渡来した際、魚をとる筌を川に仕掛けたことに由来するという。この伝承は伊和大神が出雲を本拠とする大汝命と同神と考えられていたことを示している。


柏原郷
かしわはらごう

「和名抄」所載の郷で、同書高山寺本など諸本とも訓を欠く。駿河国駿河するが郡の同名郷に加之波々良の訓があるので、カシハハラであろう。この転訛のカシハラを含めて、遺称地となる地名は見当らない。


柏原郷
かしわはらごう

「和名抄」は諸本とも訓を欠くが、駿河国駿河郡柏原郷の訓を東急本が「加之波々良」とすることから、カシハハラであろう。郷域は遺称地とみられる現高月たかつき町の高時たかとき川右岸にある柏原かしはらを含む一帯とみて諸説一致する。


柏原郷
かしはらごう

「和名抄」東急本・高山寺本ともに訓を欠く。「日本地理志料」は「加志波波良」と訓を付す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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