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核の冬 かくのふゆnuclear winter

翻訳|nuclear winter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

核の冬
かくのふゆ
nuclear winter

核戦争が起った場合,核爆発による破壊や火災から生ずる大量の噴煙が太陽光線をさえぎり,気温が大幅に低下してきびしい冬の現象が生起するとの仮説。 1983年,世界の科学者などによる「核戦争後の地球-核戦争の長期的,世界的,生物学的影響に関する会議」が開かれた際に発表され,関心を呼んだ。その後,国際学術連合の環境科学委員会でこの仮説を検討し,85年に報告書『核戦争が環境に与える影響』を発表した。それによると,米ソが保有する核の半分が夏に北半球で使用された場合,初めは気温が 15~35℃も低下し,次第に回復するものの気温低下現象は2~3年続くとされ,食料生産が不可能となり,世界的に 25億人の餓死者が出ると予測している。「核の冬」仮説は,核戦争が核爆発による直接的な死傷,破壊,放射能被害以外にも大きな災害を引起すことを想定したものとして注目されている。

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デジタル大辞泉の解説

かく‐の‐ふゆ【核の冬】

全面核戦争の後に起こるとされる全地球的な気温低下現象。都市への核攻撃による大火災で生じる大量の煤煙(ばいえん)・粉塵(ふんじん)で太陽光が遮られ、地表氷点下の状態になるというもの。

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大辞林 第三版の解説

かくのふゆ【核の冬】

核戦争後、地球上の気温が低下する現象。核爆発による火災で大量の煤塵ばいじんが吹き上げられて日射を吸収することによる。人間や動植物の生存を脅かすもので、1982年から核戦争による環境破壊の要因の一つとして注目されるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

核の冬
かくのふゆ
nuclear winter

核戦争後、地球上の温度が大幅に低下する現象をいう。核戦争が起こると、多数の核爆発とそれに伴う大火炎の結果、大量の煤煙(ばいえん)や塵埃(じんあい)が大気圏内に吹き上げられる。これが太陽からの光線を吸収し、地球全体の気象に影響を及ぼし、内陸部の広い地域で長期間にわたって異常な低温状態が続くことが予想される。さらに太陽光線の著しい減少は、植物の光合成にも影響する。太陽光線が回復しても、地球を取り巻くオゾン層が破壊される結果として紫外線が著しく強まることも考えられる。こうした一連の現象の予測が、「核の冬」と名づけられた。この問題は、1982年スウェーデン王立科学アカデミーの環境専門誌『アンビオ』が特集した「核戦争の結末」のなかで気象学者クルッツェンらが最初に指摘した。その後、アメリカの天文学者セーガンらが一連の物理モデルを用いてコンピュータ計算した結果からも、こうした「核の冬」現象が起こりうることが明らかになった。また83年10月、ワシントンで開かれた「核戦争による長期的、全世界的、生物学的影響」での会議でも、多くの学者がこの理論を認めた。ただし、その規模や程度については、核爆発のおこる条件によって不確定さが大きい。セーガンらは、総計100メガトン程度の核攻撃でも、それが都市や産業目標が攻撃の対象となるなら、核爆発後、2か月以上も氷点下気温が続くこともあるとしている。[服部 学]

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