森長英三郎(読み)モリナガ エイザブロウ

20世紀日本人名事典 「森長英三郎」の解説

森長 英三郎
モリナガ エイザブロウ

昭和期の弁護士



生年
明治39(1906)年1月10日

没年
昭和58(1983)年6月1日

出生地
徳島県

学歴〔年〕
日本大学〔昭和7年〕卒

経歴
昭和11年弁護士開業。人権派の在野法曹として、大逆事件再審、日本共産党のスパイ査問事件、終戦直後はプラカード事件など労働事件を弁護。「宴のあと」事件など、プライバシー訴訟も手がけた。著書に「生産管理の法律問題」「労働協約就業規則」「史談裁判」(4巻)「日本弁護士列伝」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森長英三郎」の意味・わかりやすい解説

森長英三郎
もりながえいざぶろう
(1906―1983)

弁護士。徳島県生まれ。農業学校を出て上京。明治学院、日本大学に一時在籍したが、その後浅草・山谷(さんや)方面で最底辺の放浪生活を送り、その間マルクス主義に触れ、歌舞伎(かぶき)など雑学を学んだ。1936年(昭和11)弁護士となり布施辰治(ふせたつじ)の指導を受けて活動を開始。戦時中、スパイ査問事件で治安維持法違反などに問われた宮本顕治の弁護を務めた。戦後は再建された自由法曹団に参加、多くの労働事件を手がけたほか、三島由紀夫の小説『宴(うたげ)のあと』によるプライバシー侵害事件、大逆事件の再審請求、丸正(まるしょう)事件の弁護などに携わった。また、戦前の裁判史に取り組み、『史談裁判』(1966~75)、『裁判自由民権時代』(1979)、『山崎今朝弥(けさや)』(1971)、『禄亭(ろくてい)大石誠之助』(1977)などを著した。

[北河賢三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森長英三郎」の解説

森長英三郎 もりなが-えいざぶろう

1906-1983 昭和時代の弁護士。
明治39年1月10日生まれ。昭和11年弁護士となる。治安維持法違反事件をあつかう。戦後は自由法曹団にくわわり,労働事件を担当。三島由紀夫「宴(うたげ)のあと」訴訟でプライバシー権をはじめて提起し,大逆事件の再審請求も手がけた。昭和58年6月1日死去。77歳。徳島県出身。著作に「史談裁判」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の森長英三郎の言及

【大逆事件】より

…坂本にいたっては幸徳方に書生として同居していたことが根拠となっている。 判決から50年目,唯一人の生存者坂本と森近の実妹栄子は,第2次大戦直後から生存者と連絡をとりあっていた森長英三郎弁護士らを代理人として大逆事件再審請求の申立てを東京高裁に提出した。以来再審手続にもとづく公開裁判を通じて,その真相は全国民の前に提示された。…

※「森長英三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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