権力への意志 けんりょくへのいし Der Wille zur Macht: Versuch einer Umwertung aller Werte
ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの遺稿断片のなかから実妹エリーザベトが"Studien und Fragmente"の副題のもとに選択編集したもの。初め彼女の3巻の伝記の一部として出版。のち 1901年1巻にまとめられ,さらに 06年大改訂が施されて2巻本として現在の表題で刊行。個々の思想はニーチェのものであるが,全体としては編集者の解釈が入り,「主著」といえるか疑問視されている。従来の思想,特にパウロ的キリスト教を,この世での弱さを来世での完成の問題にすりかえるとして批判し,さまざまな可能性を秘めた人間の内的,活動的生命力を根底とする高貴な新人間像の形成を説いている。