橘成季(読み)タチバナノナリスエ

デジタル大辞泉 「橘成季」の意味・読み・例文・類語

たちばな‐の‐なりすえ〔‐なりすゑ〕【橘成季】

鎌倉中期の文学者諸兄もろえの末裔光季の養子といわれる。伊賀守。文学・音楽にすぐれ、建長6年(1254)「古今著聞集」を編集した。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「橘成季」の意味・読み・例文・類語

たちばな‐の‐なりすえ【橘成季】

  1. 鎌倉初期の文学者。橘光季の養子といわれる。従五位下伊賀守。建長六年(一二五四)貴族説話集の「古今著聞集」を著した。経歴などは不明。生没年未詳。

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朝日日本歴史人物事典 「橘成季」の解説

橘成季

生年:生没年不詳
説話集『古今著聞集』の作者。父は九条道家,西園寺公経などに仕えた有季。鎌倉初期に生まれ,父と同じく九条道家や西園寺公経などに仕える五位の文士であったが,管弦藤原孝道・孝時父子に習い,また和歌を藤原家隆・隆祐父子に習うなかで,いささか絵に自信があることから和歌,管弦などの話を探って絵巻物を作成することを思いたった。そのために諸家の記録や伝記を調べてゆくうちに,話の輪が広がって自分が仕える西園寺家に出入りする人々や周辺の話などが集まって,ついに説話集を作ることになった。こうして30巻に編集された『古今著聞集』がなったのは建長6(1254)年のことである。年代順部類分けされたその説話集は百科事典の趣を備えており,自身も何カ所かの説話に登場しており,当時の文士の関心をよく物語っている。その後の活動は不明ながら,琵琶を花山院長雅に伝えたという。<参考文献>五味文彦『平家物語 史と説話』

(五味文彦)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「橘成季」の解説

橘成季
たちばなのなりすえ

生没年不詳。「古今著聞集」の編著者。橘則光の玄孫清則の子。光季の養子。九条道家の近習競馬をよくし,詩文や管弦図画を好み,藤原孝時から琵琶の伝授をえたが,のちに破門された。1254年(建長6)成立の「古今著聞集」では序文で「散木士」,跋文で「朝散大夫」と自称。「文机段」によれば,没年は72年(文永9)以前。

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百科事典マイペディア 「橘成季」の意味・わかりやすい解説

橘成季【たちばなのなりすえ】

鎌倉初期の下級貴族。生没年不詳。橘光季(橘諸兄の15代の孫)の養子で,琵琶・絵画をよくし,収集した詩歌管弦に関する物語を発展させて1254年《古今著聞集》を完成させた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「橘成季」の意味・わかりやすい解説

橘成季
たちばなのなりすえ

[生]?
[没]文永9(1272)以前
鎌倉時代中期の文学者。従五位上。右衛門尉。大隅守,伊賀守などを歴任。建長6 (1254) 年に著わした説話集『古今著聞集 (ここんちょもんじゅう) 』によって知られる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「橘成季」の解説

橘成季 たちばなの-なりすえ

?-? 鎌倉時代の官吏。
右衛門尉をへて伊賀守(いがのかみ)となる。藤原孝時から琵琶(びわ)をまなび,藤原長雅につたえた。建長6年(1254)和漢の諸典籍から説話をあつめて「古今著聞集」をあらわした。

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世界大百科事典(旧版)内の橘成季の言及

【古今著聞集】より

…鎌倉時代の説話集。橘成季(たちばなのなりすえ)編。1254年(建長6)成立。…

※「橘成季」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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