欠落ち(読み)かけおち

精選版 日本国語大辞典 「欠落ち」の意味・読み・例文・類語

かけ‐おち【欠落・駆落・駈落・馳落】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 逃げて、行方をくらますこと。逐電。出奔。
    1. [初出の実例]「諸客━孟嘗君が客のやうにかけをちをするぞ」(出典:史記抄(1477)一五)
    2. 「主君につかへて断なく出れば欠落(カケオチ)同然」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)三)
    3. 「生家(うち)に居ては自滅しやうがない。どうしても逃亡(カケオチ)が必要である」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
  3. 従軍した兵士が、戦場から逃亡すること。
    1. [初出の実例]「左馬助は御陣に居候へども、中比欠落致し候」(出典:赤松記(1588))
  4. 戦国時代、農民戦乱をきっかけに離村したり、または重税からのがれるために散発的に離郷すること。また組織的に領主に抵抗するため郷村を離れることをもいう。都市への欠落ち者も多かった。
    1. [初出の実例]「若又本百姓并小作等年貢引負令欠落、重郷中於令徘徊者、見合搦捕注進之上可成敗事」(出典:泉郷文書‐永祿一〇年(1567)二月六日・今川氏実朱印状)
  5. 江戸時代、貧困悪事などによって居住地を逃亡し、行方をくらますこと。これは、戸籍上、また保安上から厳しく禁じられ、欠落者の捜索方法や罰則などの細則があった。中世逃散(ちょうさん)が団体的、政治的なのに対して、個人的な色彩が強く、法制上では現在の失踪に近い。
    1. [初出の実例]「人をすかして銭金をかり、身の置処なふしてかけおちするものも有」(出典:慶長見聞集(1614)九)
  6. 相思男女が、互いにしめし合わせて、ひそかに他所へ逃げ隠れること。
    1. [初出の実例]「ふたりいいやわせ欠落をして、よふよふふじ沢までにげのび」(出典:咄本・さとすゞめ(1777)欠落)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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