精選版 日本国語大辞典 「欠落ち」の意味・読み・例文・類語
かけ‐おち【欠落・駆落・駈落・馳落】
- 〘 名詞 〙
- ① 逃げて、行方をくらますこと。逐電。出奔。
- ② 従軍した兵士が、戦場から逃亡すること。
- [初出の実例]「左馬助は御陣に居候へども、中比欠落致し候」(出典:赤松記(1588))
- ③ 戦国時代、農民が戦乱をきっかけに離村したり、または重税からのがれるために散発的に離郷すること。また組織的に領主に抵抗するため郷村を離れることをもいう。都市への欠落ち者も多かった。
- [初出の実例]「若又本百姓并小作等年貢引負令二欠落一、重郷中於令二徘徊一者、見合搦捕注進之上可レ加二成敗一事」(出典:泉郷文書‐永祿一〇年(1567)二月六日・今川氏実朱印状)
- ④ 江戸時代、貧困、悪事などによって居住地を逃亡し、行方をくらますこと。これは、戸籍上、また保安上から厳しく禁じられ、欠落者の捜索方法や罰則などの細則があった。中世の逃散(ちょうさん)が団体的、政治的なのに対して、個人的な色彩が強く、法制上では現在の失踪に近い。
- [初出の実例]「人をすかして銭金をかり、身の置処なふしてかけおちするものも有」(出典:慶長見聞集(1614)九)
- ⑤ 相思の男女が、互いにしめし合わせて、ひそかに他所へ逃げ隠れること。
- [初出の実例]「ふたりいいやわせ欠落をして、よふよふふじ沢までにげのび」(出典:咄本・さとすゞめ(1777)欠落)