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門付(け) カドヅケ

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デジタル大辞泉の解説

かど‐づけ【門付(け)】

[名](スル)《「かどつけ」とも》人家の門前に立って音曲を奏するなどの芸をし、金品をもらい受けること。また、その人。「角付けして歩く」

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百科事典マイペディアの解説

門付【かどづけ】

大道芸の一種で,門ごとに訪れ銭を請う芸人。季節に応じて神が祝福をもって訪れるという民俗信仰に基づき,その神を装ってくる祝言人(ほがいびと)の芸能に由来する。江戸時代には万歳(まんざい),鳥追,夷(えびす)舞,大黒舞,獅子舞,ちょろけん,猿回し厄払い節季候(せきぞろ)などがあった。
→関連項目勧進聖瞽女三河万歳厄払い(演劇)弥次郎兵衛

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世界大百科事典 第2版の解説

かどづけ【門付】

人家の門前に立ち,報酬を受けるのを目的として演ずる者,およびその芸能。元来は時節を定めて神が祝福に訪れるという民間信仰の形態に発し,古くは,声聞師(しようもじ)(唱門師)などの特定の村人や下級神人(じにん)などが,決められた時期に各家の門ごとをまわるものであったが,しだいに転落し,もっぱら米銭を乞う乞食芸になりさがった。季節を定めて訪れる芸能には,近世以前に新春の千秋万歳(せんずまんざい),松囃子,傀儡子(くぐつ)(傀儡)などがあったが,江戸時代には,万歳,春駒,鳥追大黒舞獅子舞,ものよし,猿回し,ちょろけん,夷回し(えびすまわし)(夷舁き(えびすかき)),太々神楽(だいだいかぐら),鹿島事触れなどが初春に姿をみせ,節分には厄払いが門ごとをまわった。

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大辞林 第三版の解説

かどづけ【門付】

( 名 ) スル
人家の門口で雑芸を演じたり、経を読んだりして金品を乞うこと。また、それをする人。万歳・厄払い・人形回し・門説経その他がある。 「家々を-して歩く」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

門付
かどづけ

大道芸、巷間(こうかん)芸能の一つ。人家の門口に立って芸能を見せ、報酬を受ける芸能と芸能者の総称。古くは時節を定めて門ごとに神が訪れて祝福を垂れたという民俗信仰に端を発し、その神の姿をして来訪する神人の印象が色濃い芸能であった。門付の芸能の歴史は、古く宮廷に芸能をもって仕える来訪神(まれうど)であった祝言人(ほがいびと)を発生の源とする。「正月を祝(ことほ)ぐ」などという用語例にその昔のこれら下級神人の性格の残影がうかがわれる。荘園(しょうえん)制度が強固になり、土地経済が主流を占めるようになって、雑芸(ぞうげい)、雑伎(ざつぎ)をもって宮廷や大寺社に属していた民たちは流浪の雑芸者となっていった。中世においては「七道者(しちどうもの)」と称されて、猿楽(さるがく)、アルキ白拍子(しらびょうし)、アルキ御子(みこ)、鉦叩(かねたた)き、鉢叩き、アルキ横行(おうこう)、猿飼(さるかい)の7種がその代表的なもの(大乗院寺社雑事記)であったが、戦国時代から近世に入ると、にわかにその種類を増してくる。そうなると、もともとはある特定の季節とか、「ハレ」の日などの定まったときに限って訪れたものであったが、生活のために芸能の代価を求めるようになると「常(つね)」の日にも門々を訪れるようになり、ついには乞食(こじき)芸に堕落してしまった。
 江戸時代、穢多頭(えたがしら)の弾左衛門の支配を受けていた多くの門付芸人がいたが、千秋万歳(せんずまんざい)や猿回しなどといったごく一部のものを除くと、ほとんどが近世に入って発生したか、もしくは古い芸種の名を用いながらも内容のさま変わりしたものであった。その数は膨大であったし種類も多いが、芸内容によって分類すると次のとおりである。[織田紘二]

厄払い芸系

厄払(やくはら)い、ちょろけん、胸叩(たた)き、節季候(せきぞろ)、婆等(うばら)、すたすた坊主、狐舞(きつねまい)、風神(かぜのかみ)送り、鉢叩き。節分にやってくる厄払いを除くと、年の暮れに旧年の厄を払うために訪れるものがほとんどである。[織田紘二]

祝福芸系

松囃子(まつばやし)、懸想文売(けそうぶみう)り、千秋万歳、猿回し、傀儡子(かいらいし)、物吉(ものよし)、春駒(はるこま)、ほめら、鳥追い、福俵、大黒舞(だいこくまい)、お福さん、かせどり。初春は門付芸人の稼ぎどきであるため、古風を残す芸種がやはり集中している。[織田紘二]

御祓い芸系

獅子舞(ししまい)、太神楽(だいかぐら)、半田稲荷(いなり)、わいわい天王、住吉踊、神事舞太夫(たゆう)、鹿島(かしま)の事触れ、鳥足行人(ちょうそくぎょうにん)、淡島願人(あわしまがんにん)。この種にも正月にやってくるものが多いが、淡島願人のように季節にかかわりなく、女性の病気を治す御祓(おはら)いをして晒(さらし)布を売り歩くものもあったようで、かなり近世的な色が濃くなってくる。[織田紘二]

祭文・説教芸系

祭文(さいもん)語り(山伏祭文、歌祭文、説教祭文、浮かれ節、ちょんがれ節、でろれん祭文など)、瞽女(ごぜ)、歌念仏、門説経、八挺鉦(はっちょうがね)、間(あい)の山、門談義、葛西(かさい)踊、虚無僧(こむそう)、琵琶(びわ)法師、四つ竹、あるき巫女(みこ)。ほとんど季節とは関係がなくなり、大道芸と称したほうがぴったりの芸種である。
 祭文や説教といった信仰に深く根ざした世界から近世を経て浪花節(なにわぶし)や講談、落語といった大衆娯楽芸能を生み出した日本人は、江戸時代に多くの「物乞(ものご)いの芸能」を生ぜしめた。謎(なぞ)解き、大道講釈、太平記読み、辻(つじ)謡曲、乞食芝居(一人二役俄(にわか)芝居)、よいやなァ、独り狂言、声色(こわいろ)遣い(役者物真似(ものまね))、笠(かさ)人形、長松(ちょうまつ)小僧、藁(わら)人形、丹波(たんば)の荒熊、船頭非人、可愛(かわ)いがって、一人相撲(ずもう)、腕香(うでこう)など、その数は枚挙にいとまがないほどである。明治の法界屋や近代の流しの演歌師などにまでその伝統は受け継がれたが、広場としての大道を失い、高層化して門をもたなくなった現代、そのほとんどを失ってしまったようである。[織田紘二]
『宮尾しげを・木村仙秀著『江戸風俗資料1 江戸庶民街芸風俗誌』(1979・展望社)』

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世界大百科事典内の門付(け)の言及

【乞食】より

… ではたとえば近世以前の社会では,こじきとはどのような人々と考えられていたのだろうか。江戸時代の随筆類や風俗調査などにあらわれたところを大きく分類すれば,この時代のこじきに,(1)純然たる物もらいのためのこじき,(2)托鉢勧進する宗教者,(3)門付(かどづけ)芸人,(4)旅をする行商人,などをあげることができる。 このうち第1のタイプのものはおそらくどの時代にも普遍的に存在した。…

【節季候】より

門付(かどづけ)の芸人。江戸時代師走になると赤い布で顔を隠し,頭に裏白(うらじろ)をつけた笠をかぶった芸能者数人が一組となり,割竹をたたいて〈節季候節季候 めでたいめでたい〉と唱えて家々の門口を訪い歩いた。…

【大道芸】より


[日本]
 ほとんどすべての芸能は,その発生期においては屋外の大地の上で行われており,むしろ芸能にあっては,長く〈屋外の芸〉もしくは〈大道の芸〉という芸態が当然のことであった。しかし,特に近世以降に人形浄瑠璃,歌舞伎といった舞台芸能が発展すると,〈門付(かどづけ)芸〉〈見世物〉〈物売り(香具師(やし))の芸〉なども広く含めたもろもろの大道の雑芸(ざつげい)は,舞台芸能とははっきり区分けされて意識されるようになった。そしてこの大道芸も,江戸時代を通じてかなり複雑多岐に分化し,最大の繁栄をみせるのであるが,その種類は,節季候(せきぞろ),万歳(まんざい),猿回し春駒(はるこま),獅子舞大黒舞,夷舞(えびすまい),ちょろけん,祭文(さいもん)語り(祭文),説経語り(説経),鉢叩(はちたたき),人形回し,太神楽(だいかぐら),鳥追(とりおい),絵解き八丁鉦(はつちようがね),門談義,辻謡曲,太平記読み,大道講釈,乞食芝居,声色(こわいろ),一人(ひとり)相撲,曲鞠(きよくまり),曲独楽(きよくごま),のぞきからくり,居合抜(いあいぬき)(居合)等々,実に300種以上にものぼるといわれる。…

【鳥追】より

…しかし,おとなが行う所,家単位で行う所,道祖神祭や小正月の火祭(左義長)等と習合したものなど,細部にわたっては土地ごとに相違がみられる。子どもたちが各家を回って祝言を述べ賽銭(さいせん)を集めて歩くという〈小正月の訪問者〉的例も少なくなく,都市部の門付(かどづけ)芸としての鳥追はこれらと関係があるものと思われる。また,鳥追と同じ意味をもつ小正月の行事に,西日本に多い土竜(もぐら)送り,狐狩りなどがある。…

【万歳】より

…民俗芸能。祝福芸,門付芸(かどづけげい)の一つ。正月に家々の座敷や門口で予祝の祝言を述べたてるもので,〈千秋万歳(せんずまんざい)〉の末流と考えられる。…

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