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残存主権 ざんそんしゅけんresidual sovereignty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

残存主権
ざんそんしゅけん
residual sovereignty

潜在主権ともいわれ,一国の領域に対し他の国家が施政権を行使する場合に,その領域に主権を有する国家に残されている権限をいう。権限の具体的内容は個々の事例によって異なるが,一般には施政国の施政が終了した場合には当然ながら主権国の施政権が回復されること,施政国は条約に定められている以外の処分は主権国の同意なしにはできないこと,の2点である。 1951年の対日平和条約 (サンフランシスコ条約) 第3条に基づく沖縄に対する日本の権限も残存主権と説明された。 (→領土 )

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百科事典マイペディアの解説

残存主権【ざんぞんしゅけん】

残留主権,潜在主権とも。英語residual sovereigntyの訳で,主権の作用のうち統治権を他にゆだねた残りのものをさす語として用いられ,その歴史は新しく,国際法上確定した言葉ではない。

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世界大百科事典 第2版の解説

ざんぞんしゅけん【残存主権】

国際法上確定した特定の意味のある言葉ではない。対日平和条約署名のためのサンフランシスコ会議で,アメリカの全権J.F.ダレスが,沖縄・小笠原について,アメリカは平和条約3条によって統治権をもつが,日本はなおresidual sovereigntyをもつと述べたため,注目された。〈潜在主権〉ともいうが,潜在する主権が将来顕在するというより,むしろ日本に残された主権という意味であるから,〈残存主権〉と訳すほうが適切である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

残存主権
ざんそんしゅけん
residual sovereignty

甲国の領土の一部に、乙国の施政権(統治権)が全般的に行使されることが認められる場合、甲国に残されている権限を残存主権という。潜在主権または残余主権といわれることもある。乙国の権限は、単に統治権の行使であり、その地域の処分の権限を含まない点で、割譲とは異なる。乙国は、甲国の同意なくして、その地域の領有権や統治権を第三国に譲渡することはできない。また、その地域に対する統治権の行使が終了したときは、甲国の統治権が当然に回復される。このような甲国の地位を、甲国が残存主権を有するという。
 残存主権は、一般的にいえば、租借地にみられる。19世紀末に九竜(きゅうりゅう/カオルン)半島をはじめ中国の地域に認められたイギリスなどの租借地、1903年アメリカがパナマから統治権の移譲を受けた運河地帯などはその歴史的な例である。
 わが国で残存主権の語が多く用いられたのは、沖縄など南方・南西諸島の地位に関連してであった。対日平和条約(1952発効)第3条で、アメリカがこれらの諸島を信託統治制度の下に置くことを提案したときには日本国がこれに同意すること、および、それまでの間はアメリカがその地域の立法・司法・行政のすべての権限(統治権)を行使できることが定められた。サンフランシスコ講和会議でアメリカ首席代表ダレスは、この条項を、日本国に残存主権を残すものと説明した。[石本泰雄]

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