線形動物門双腺(そうせん)綱円虫目毛様線虫科に属する比較的小形の細い寄生線虫の総称。ヒトに寄生する東洋毛様線虫のほか、ヒツジ、ヤギ、ウシなどの小腸に寄生する蛇状毛様線虫(へびじょうもうようせんちゅう)Trichostrongylus colubriformisや細頸毛様線虫(ほそくびもうようせんちゅう)Nematodirus filicollis、同じく第4胃に寄生する捻転胃虫(ねんてんいちゅう)Haemonchus contortusやオステルターグ胃虫Ostertagia ostertagiなど多数の種類があり、哺乳(ほにゅう)類や鳥類の消化管に寄生している。多数寄生すれば重い症状をおこすものもある。
東洋毛様線虫Trichostrongylus orientalisはヒトの小腸上部に寄生し、毛状で雄の体長4~6ミリメートル、雌5~7ミリメートル。発育環は鉤虫(こうちゅう)のそれと似ており、卵は糞便(ふんべん)とともに排出され、外界で孵化(ふか)した幼虫は一定の発育ののち感染型幼虫となり、主として経口的にヒトに感染する。多数寄生すれば腹痛、下痢、全身倦怠(けんたい)などをおこす。日本(東北、北陸地方から報告された)、中国、朝鮮半島、台湾などに分布する。
[町田昌昭]
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