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鉤虫 こうちゅうAncylostomidae; hookworm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鉤虫
こうちゅう
Ancylostomidae; hookworm

袋形動物門線虫綱円虫目鉤虫科に属する寄生虫総称十二指腸虫ともいうが,これは初めて発見されたものがたまたま十二指腸にいたためで,その後,寄生部位はむしろ小腸上部に多いことがわかり,いまでは鉤虫と呼んでいる。体長 10~30mm。口腔は嚢状で,その中に1~2対の鋭い歯牙や歯板があり,小腸粘膜に咬着して吸血する。人体に寄生するものは5種あるが,最も普通にみられるのは,ズビニ鉤虫アメリカ鉤虫で,両種とも熱帯から温帯にかけて分布し,日本にも多く,特に農村で寄生率が高い。排泄された卵は便中で数回脱皮して感染幼虫となり,外界ではこれ以上成長することなく,感染の機会を待つ。経皮的あるいは経口的に感染して鉤虫症を起すと,貧血や消化器障害などの症状が出る。治療には対症療法のほかに駆虫を行う。予防には糞便の処理や集団検査が大切である。そのほか多くの種がウシ,ヤギ,コウモリ,ブタ,イノシシ,イヌ,ネコなどに寄生している。

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デジタル大辞泉の解説

こう‐ちゅう【×鉤虫】

線虫綱鉤虫科の袋形動物の総称。体長0.5~3センチで、体は細長く鉤(かぎ)状に湾曲、口にはキチン質の突起がある。人や家畜の小腸に寄生。幼虫は土中で成育し、皮膚または口から宿主の体内に侵入する。ズビニ鉤虫・イヌ鉤虫など。

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栄養・生化学辞典の解説

鉤虫

 線虫類鉤虫科に属する寄生虫の総称.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鉤虫
こうちゅう
hookworm

線形動物門双腺(そうせん)綱円虫目鉤虫科の寄生虫の総称。十二指腸虫といわれたが、これは鉤虫が初めて発見されたとき、たまたま十二指腸にいたためで、その後、寄生部位は空腸上部とわかり、現在では鉤虫とよばれる。日本ではヒトにズビニ鉤虫Ancylostoma duodenaleとアメリカ鉤虫Necator americanusがみられ、これらは熱帯から温帯にかけて広く分布している。また、家畜などにも鉤虫は寄生し、イヌにはイヌ鉤虫Ancylostoma caninumがみられる。
 ズビニ鉤虫、アメリカ鉤虫ともに体長は10ミリメートル前後で、ズビニ鉤虫のほうがやや長くて太い。口腔(こうこう)は袋状で、その中にズビニ鉤虫では2対の鋭い歯牙(しが)を、アメリカ鉤虫では1対の歯板(しばん)を備え、これによりヒトの腸粘膜に咬着(こうちゃく)している。雄は雌よりもやや小さく、尾端に交接嚢(こうせつのう)をもつ。卵は糞便(ふんべん)とともに排出され、外界で幼虫が孵化(ふか)し、2回脱皮して感染力を有する感染型幼虫となるが、感染型幼虫は2回目の脱皮鞘(だっぴしょう)に包まれている。ヒトへの感染は経皮あるいは経口的に行われる。ズビニ鉤虫は主として経口的に、アメリカ鉤虫は主として経皮的に感染する。経皮感染では、畑仕事などの際、感染型幼虫が手足の皮膚に触れると皮鞘を脱ぎすてて侵入し、血流やリンパ流にのって心臓、肺臓へ達し、肺胞を突破し、さらに気管、喉頭(こうとう)、咽頭(いんとう)、食道、胃を経て小腸上部に到達する。経口感染では、生野菜などとともに感染型幼虫が摂取され、胃または小腸上部で脱皮する。その後一時、小腸粘膜内で発育したのち小腸内に入る。いずれの経路でもヒト体内でさらに2回脱皮し、感染後1~2か月で成虫になる。ズビニ鉤虫では小腸粘膜内の幼虫の一部が血流に乗って肺や気管に入り、のどのかゆみや咳(せき)などの原因となる(若菜病)。成虫は小腸上部の粘膜に咬着して吸血するため、貧血や消化器障害などの症状をおこす。ズビニ鉤虫1匹の1日当りの吸血量は0.2cc、アメリカ鉤虫は0.03ccで、このため病害性はズビニ鉤虫のほうが大きい。ズビニ鉤虫では30匹以上、アメリカ鉤虫では150匹以上寄生すると症状が出るという。また、幼虫が経皮感染の際、侵入局所にかぶれをおこすことがある。
 イヌ鉤虫は、イヌ、キツネ、オオカミなどの小腸に寄生し、体長は雄で8~12ミリメートル、雌で15~20ミリメートル、口腔には3対の歯牙がある。感染経路はヒトの鉤虫と同じく感染型幼虫の経皮、経口感染のほか、母イヌの体組織にいる幼虫が胎盤を経由して胎仔(たいし)に移行したり(胎盤感染)、母乳を経由して子イヌに感染したり(経乳感染)することもある。イヌ鉤虫の病害は子イヌに著しく、その主体は貧血である。[町田昌昭]

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