気嚢(読み)キノウ

デジタル大辞泉 「気嚢」の意味・読み・例文・類語

き‐のう〔‐ナウ〕【気×嚢】

鳥類の肺に付属する薄膜の袋。中に空気を蓄えて体を浮きやすくさせ、また呼吸を助けるなどの働きをする。
昆虫気管一部が拡大して袋状となったもの。
飛行船気球の、浮揚のためのガスを入れる袋。ガス袋。

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精選版 日本国語大辞典 「気嚢」の意味・読み・例文・類語

き‐のう‥ナウ【気嚢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鳥類の肺に付属し、内部に空気を満たしている薄膜の袋。くびから腹部にかけて五対ある。体を軽量化するとともに飛翔中の呼吸の効率を高める。
  3. 昆虫類の気管の主幹部分が拡大して袋状となったもの。中に空気を満たし、体を軽くするのに役立つ。気管嚢。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「気嚢」の意味・わかりやすい解説

気嚢
きのう

鳥類と昆虫にみられる空気を満たした嚢で、体を浮きやすくするのに役だつ器官

(1)鳥類では、肺が膨出し内部に空気を満たしている大形の嚢である。薄膜からなり、内臓や筋肉骨格の中にまで入り込み、鳥の体を大きさのわりには軽くしており、飛ぶ目的にかなっている。気嚢の入り込んだ骨は含気骨とよばれ、骨髄にかわって気腫(きしゅ)が形成されている。なお、爬虫(はちゅう)類のカメレオンの肺には、数個の盲嚢がみられ、気嚢の先駆とされる。

(2)昆虫の気嚢は、気管の主幹が拡大して大形の嚢となったもので、気管嚢ともいう。気管では、キチン質内膜螺旋(らせん)状の隆起がみられるが、気嚢にはこれがない。空気を蓄え、体重を軽くして、飛行の目的にかなうように変化したものと考えられる。

[町田武生]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気嚢」の意味・わかりやすい解説

気嚢
きのう
air sac

(1) 鳥の肺に続く空気を満たしている嚢状器官。筋肉,骨格,さらに各器官の間に入り込み,飛翔のために体の比重を軽くする働きをもつとともに肺内の呼吸気流の効率化を助ける。 (2) 昆虫類の気管に付随する嚢状器官。空気を満たし,体重を軽くする。気管のような,管径を保持するためのキチン質の輪は存在しない。

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