水上スキー(読み)スイジョウスキー(その他表記)water skiing

デジタル大辞泉 「水上スキー」の意味・読み・例文・類語

すいじょう‐スキー〔スイジヤウ‐〕【水上スキー】

モーターボートにつないだロープに引かれて、スキー水面滑走するスポーツ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「水上スキー」の意味・読み・例文・類語

すいじょう‐スキースイジャウ‥【水上スキー】

  1. 〘 名詞 〙 ( スキーは[英語] ski ) スキーをはき、モーターボートに引かれて水上をすべるスポーツ。また、それに使うスキー板。雪上用のものより幅が広い。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「芦ノ湖で、水上スキーの練習が行われていた」(出典:拳銃街一丁目(1959)〈島田一男〉死美人国道)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水上スキー」の意味・わかりやすい解説

水上スキー
すいじょうすきー
water skiing

モーターボートで曳航(えいこう)されるスキーに乗り、水上を滑走するスポーツ。その発生については、いろいろの説があるが、モーターボートの発展と密接な関係がある。モーターボートが一般の乗り物として普及してきた19世紀なかばごろ、スキー板に似たアクアプレーン(波乗り板)をモーターボートに引かせてスピードを楽しむことが流行した。このアクアプレーンを1924年アメリカのフレッド・ウォーラーが改良し、ドルフィン・アクアスキーと名づけて特許をとった。これが水上スキーの原型といわれている。同じころ、フランスでは湖上でボートに引かせたスノースキーに乗って楽しんでいた。これがヨーロッパでの水上スキーの始まりとされている。第二次世界大戦後アメリカでは、モーターボートブームがおこるとともに、水上スキー愛好者も急増した。

 1939年アメリカ水上スキー協会が設立され、以後、第二次世界大戦中を除いて毎年アメリカ国内および国際オープン競技会が開催されている。1949年にはフランスのジャン・レ・パンで第1回世界選手権大会が開かれた。1955年ヨーロッパの国際水上スキー連合とアメリカの水上スキー協会とが合併することになり、新たに世界水上スキー連合(WWSU)が発足した。以後2年目ごとに世界選手権大会が開かれているが、アメリカが圧倒的強さを誇っている。

 日本では第二次世界大戦後、アメリカ駐留軍が芦(あし)ノ湖、琵琶(びわ)湖などで行ったのが最初で、1955年(昭和30)には日本水上スキー連盟が結成され、以後毎年選手権大会が開かれている。1958年には世界水上スキー連合に加入し、59年にはイタリアのトリノの選手権大会に初めて選手を送っている。

 競技はスラローム回転)、トリック・ライディング(曲乗り)、ジャンプの3種が代表的な種目で、この3種目の総合得点で争われる。このほか長距離レースがあり、マイアミビーチの200キロメートルレース、イギリス海峡横断レースが有名である。

[石井恒男]

用具

スキーは1本(モノスキー)と2本(ペアスキー)のものがあり、それぞれ競技用とスタンダード型(一般用)に分かれている。後者は長さ175センチメートル、幅17センチメートルで、合板材・プラスチックなどでつくられている。中央のゴムの締め具で足を固定している。トー・ロープ(引き綱)は直径5.5~6.5ミリメートル、長さは23メートルで、スキーヤーは綱の先の把手(とって)を握って滑る。ボートは普通、時速24~58キロメートルのスピードで操作される。救命胴衣も必要である。ウェットスーツは、着用すると一年中スキーができるので、トレーニングには欠くことができない。

[石井恒男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「水上スキー」の意味・わかりやすい解説

水上スキー (すいじょうスキー)
water skiing

スキーをはき,モーターボートにつけた引綱で引かれて,水面を滑走する水のスポーツ。現在のような水上スキーの原形は,1920年代にアメリカで創案され,フランスを中心にヨーロッパでも行われるようになった。第2次大戦後,モーターボートが発達し,その愛好者が増えるのに応じて水上スキーも大きく発展した。1949年フランスで初めて世界選手権大会が開催され,55年には世界水上スキー連合(WWSU)が設立された。

 日本では大正の終わりごろ,箱根芦ノ湖で外人が行ったのが最初のようである。しかしこれはスキーに直接引綱を結びつけた〈アクアプレーンaquaplane〉と呼ばれるもので,今日のような形のものは,1950年代にアメリカ兵によってもたらされた。55年には日本水上スキー連盟が結成されているが,本格的な普及は60年代の後半からで,他の水のスポーツと同様に若者を中心として愛好者が増えた。海洋レクリエーションの場であるマリーナのうち,水上スキーを比較的さかんに行っているのは3分の1程度である。そのほか,江戸川の河口や富士五湖をはじめとする湖水でも行われているが,漁業権や観光業者との利害の対立もあって,水上スキーを十分に楽しむことのできる静水面が得がたい,というのが日本の実情である。

 競技としては,ジャンプ,スラローム(回転),トリック(曲乗り)などが行われている。ジャンプはコース途中に設けられた高さ6フィート(約1.8m)のジャンプ台に乗りあげ,空中を飛んで距離などにより得点を競う。スラロームは幅25ヤード(約23m)のコース中に浮かぶブイの間を左右に蛇行しながら通り抜けて得点を競い,トリックは前向きから後向きの滑走にすばやく変えたり,ジャンプしたり,引綱を足で保持したりするなど,さまざまな妙技によって得点を競うものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「水上スキー」の意味・わかりやすい解説

水上スキー【すいじょうスキー】

スキー状の板(長さ1.7m,幅16cm程度)をはき,モーターボートに結んだロープに引かせて水上を滑走するスポーツ。1920年代米国で創案されたもの。第2次大戦後モーターボートの性能が向上し,小型でスピードの出せるモーターボートが普及するにつれ,水上スキーの愛好者が急増した。1949年,フランスで最初の世界選手権大会が開催され,1955年にはそれを統轄する世界水上スキー連合(WWSU)が設立された。日本では,大正時代末に外国人が箱根芦ノ湖で行ったのが最初。しかし,これはアクアプレーンaquaplane(スキーに直接ロープを結んだもの)で,こんにちのような水上スキーは1950年代にアメリカ兵が持ち込んだのが最初。1955年,日本水上スキー連盟結成。競技としては,ジャンプ,スラローム(回転),トリック(曲乗り)など,各種の競技会が行われる。
→関連項目スラローム

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水上スキー」の意味・わかりやすい解説

水上スキー
すいじょうスキー
water skiing

スキーを着用し,モーターボートなどに引かれて水上を滑走するスポーツ。ウォータースキーともいう。ボート後部につながれたロープの柄を握り,やや後方にそりながら乗る。 1922年,アメリカ合衆国のラルフ・サミュエルソンが自作の木製スキーで初めて滑走に成功して以来,アメリカおよびヨーロッパ各国に普及した。 1939年ニューヨークで全米選手権大会が,1949年フランスで世界選手権大会が初めて開催された。 1946年世界水上スキー連合 World Water Ski Union; WWSU (のち国際水上スキー連盟 International Water Ski Federation; IWSFに改称) 設立。日本では 1955年に日本水上スキー連盟が創立,同年から全日本水上スキー選手権大会が始まった。主要競技種目は,ジグザグに設置されたブイを回るスラローム,飛距離とフォームを採点するジャンプ,水面回転や空中回転,横滑りなどの曲乗りを行なうトリックの3種。ほかに長距離レース,耐久レース,カイトなどの単一種目もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android