日本大百科全書(ニッポニカ) 「水上スキー」の意味・わかりやすい解説
水上スキー
すいじょうすきー
water skiing
モーターボートで曳航(えいこう)されるスキーに乗り、水上を滑走するスポーツ。その発生については、いろいろの説があるが、モーターボートの発展と密接な関係がある。モーターボートが一般の乗り物として普及してきた19世紀なかばごろ、スキー板に似たアクアプレーン(波乗り板)をモーターボートに引かせてスピードを楽しむことが流行した。このアクアプレーンを1924年アメリカのフレッド・ウォーラーが改良し、ドルフィン・アクアスキーと名づけて特許をとった。これが水上スキーの原型といわれている。同じころ、フランスでは湖上でボートに引かせたスノースキーに乗って楽しんでいた。これがヨーロッパでの水上スキーの始まりとされている。第二次世界大戦後アメリカでは、モーターボートブームがおこるとともに、水上スキー愛好者も急増した。
1939年アメリカ水上スキー協会が設立され、以後、第二次世界大戦中を除いて毎年アメリカ国内および国際オープン競技会が開催されている。1949年にはフランスのジャン・レ・パンで第1回世界選手権大会が開かれた。1955年ヨーロッパの国際水上スキー連合とアメリカの水上スキー協会とが合併することになり、新たに世界水上スキー連合(WWSU)が発足した。以後2年目ごとに世界選手権大会が開かれているが、アメリカが圧倒的強さを誇っている。
日本では第二次世界大戦後、アメリカ駐留軍が芦(あし)ノ湖、琵琶(びわ)湖などで行ったのが最初で、1955年(昭和30)には日本水上スキー連盟が結成され、以後毎年選手権大会が開かれている。1958年には世界水上スキー連合に加入し、59年にはイタリアのトリノの選手権大会に初めて選手を送っている。
競技はスラローム(回転)、トリック・ライディング(曲乗り)、ジャンプの3種が代表的な種目で、この3種目の総合得点で争われる。このほか長距離レースがあり、マイアミビーチの200キロメートルレース、イギリス海峡横断レースが有名である。
[石井恒男]