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汝窯 じょようRu-yao

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

汝窯
じょよう
Ru-yao

中国,河南省臨汝県付近一帯にあった青磁窯。五代から宋代に最も栄え,北宋代には五名窯の一つとして製陶の中心であった。北方青磁と呼ばれたオリーブ色の青磁が代表製品といわれているが,その当否は定かではない。水瓶,香炉,杯,碗など器種も多く,とりわけ彫文のない素地に精緻な青磁釉をかけ,底裏までほとんど全体に釉 (うわぐすり) をかけた逸品は,北宋宮廷の御用窯で焼かれたものとされる。この窯を汝官窯と呼び,他の民窯の臨汝窯と区別している。また北宋末には俗に鈞窯と称する北方青磁とは異なった失透性の釉を用いて藍色を呈した青磁が生産された。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

汝窯

中国・北宋の末期(11世紀末~12世紀初)に宮廷用の青磁を焼いた窯。河南省宝豊県清凉寺村で窯跡が見つかった。現存する汝窯の青磁は世界で約90点と極めて少ない。台北故宮博物院が21点を所蔵し、大阪市立東洋陶磁美術館も青磁水仙盆を1点所蔵している。今回初来日する台北故宮博物院の青磁無紋水仙盆は、汝窯の最高傑作とされ「人類史上最高のやきもの」と称されている。

(2016-12-07 朝日新聞 朝刊 大特集H)

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デジタル大辞泉の解説

じょ‐よう〔‐エウ〕【×汝窯】

中国河南省臨汝県にあった宋代の陶窯。すぐれた青磁を産した。臨汝窯。

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世界大百科事典 第2版の解説

じょよう【汝窯 Rǔ yáo】

中国,北宋時代にすぐれた青磁を焼いた窯。河南省臨汝県にあったといわれているが,窯址は確認されていない。《高麗図経》や南宋の周輝《清波雑志》などに汝窯に関する記載があり,〈汝窯は宮中禁焼なり。内に瑪瑙末ありて油となす。唯だ御に供し,揀(えら)び退けてまさに出売を許す。近ごろ尤(もつと)も得がたし〉とあり,汝窯の青磁をとりわけすぐれたものと絶賛している。昭和初め,大谷光瑞の命を受け,原田玄訥が河南省臨汝県を踏査して臨汝窯窯址から青磁を採集しているが,これはいわゆる耀州窯系の北方青磁であり,北京の故宮博物院や台湾の故宮博物院に伝世する汝官窯とされるものとは異なっている。

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大辞林 第三版の解説

じょよう【汝窯】

中国、宋代、河南省臨汝県一帯にあった青磁窯群の総称。また、その製品。臨汝窯。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

汝窯
じょよう

中国、宋(そう)代の青磁の名窯。汝窯には二つの義がある。一つは河南(かなん/ホーナン)省臨汝(りんじょ)県厳和店、軋花溝(あっかこう)、下任村、蜈(ごしょうざん)、陳溝、桃山溝、崗溝(こうこう)、陳家荘、黄窯、石板河に広く分布している古窯址(し)、いわゆる地方青磁の窯の意である。灰白色の素地(きじ)にオリーブグリーンの深い青緑色の青磁釉(ゆう)をかけた、滋味豊かな青磁で、南方の越州窯の陶技を受け北宋前期に開窯したと推測され、北宋末から金代に秀作を焼造した。これに対していま一つは北宋官窯の意で、汝官窯あるいは汝窯とよぶ。南宋の周輝が『清波雑志』のなかで、「汝州は宮中の禁焼なり」と述べていることを踏まえて、ここに官窯があったと考え、世に伝存する失透性の高貴な一群の青磁を汝官窯とよぶ。この場合、作品を古窯で裏づける実証はない。[矢部良明]

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世界大百科事典内の汝窯の言及

【官窯】より

…一般に民窯に対するものとしての官窯は,権力者,政府などが管理した陶窯のことで,中国の景徳鎮官窯をはじめ,韓国の広州官窯,日本の鍋島藩窯など,さまざまの性格のものがある。狭義の官窯は,宋時代に宮中の御用品としての青磁を焼いた,いわゆる宋官窯のことで,北宋官窯・汝窯(汝官窯)・南宋官窯(修内司窯・郊壇窯)がこれに当たる。その製品は中国の最もすぐれた青磁として喧伝され,竜泉窯その他でさかんに模倣が行われた。…

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