日本大百科全書(ニッポニカ) 「池田弥三郎」の意味・わかりやすい解説
池田弥三郎
いけだやさぶろう
(1914―1982)
国文学者。東京に生まれる。慶応義塾大学文学部国文学科在学中から折口信夫(おりくちしのぶ)の指導を受け、地方の民俗や芸能調査の旅をした。5年間の軍隊生活ののち、1947年(昭和22)から慶応義塾大学講師、1961年教授となり、定年まで勤続した。その研究は日本文学、民俗学、芸能史などにわたり、折口信夫の開いた学風を継承し、祖述しつつ、独自の研究業績を示した。研究のほかに随筆をよくし、NHKの解説を担当し、多趣味で多方面に活動の分野をもった。1980年(昭和55)慶大を退いてのち、富山県の洗足学園魚津短大(2002年廃止)の教授となった。慶大名誉教授。文学博士。主著『文学と民俗学』『日本芸能伝承論』などのほか、回想記『まれびとの座』など多数の著作がある。
[岡野弘彦]
『『池田弥三郎著作集』全10巻(1979~1980・角川書店)』