池辺寺跡(読み)ちへんじあと

日本歴史地名大系 「池辺寺跡」の解説

池辺寺跡
ちへんじあと

[現在地名]熊本市池上町

妙観みようかん(二五四メートル余)尾根続きの南麓に位置し、「国誌」に「功徳池辺寺独鈷山龍池院」として、「往日寺辺ニ大池アリ故ニ寺号ヲ池辺寺ト号」したといい、天台宗、本尊金子ノ聖観音、寺領一石五斗、和銅三年(七一〇)国司の請いにより、味生あじう池に住む悪竜退散のため、勅命により大和国の真澄が池のほとりに伽藍を建てたことに始まるという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「池辺寺跡」の解説

ちへんじあと【池辺寺跡】


熊本県熊本市池上町にある寺院跡。市の西部に聳える標高665mの金峰山から南東へと延びる支脈が、裾野を広げて達する平野部との境近く、標高130~140mの斜面に所在する。建物群は、斜面を造成した平坦面の中央に、段状に築いた南北約22m、東西約18mの乱石積み基壇の上に配置。中央建物とその東・南・北面を取り囲む3棟の建物と3棟を結ぶ回廊からなり、中央建物の基壇が最も高く、それより北・南面建物基壇は0.35m、東面建物および回廊の基壇は約1m低い。出土遺物には土師器(はじき)、瓦、石製品などがあるが、土師器は9世紀前半代から10世紀にかけてのもので、瓦には単弁九弁蓮華文軒丸瓦(のきまるがわら)・唐草文軒平瓦など9世紀前半ごろのものが含まれている。石塔群からは、宝珠数点を含む凝灰岩製ないし砂岩製の相輪(そうりん)が出土。この寺跡は山中に営まれた数多くの古代寺院のなかでも、際だった独自性をみせていることから貴重とされ、1997年(平成9)に国の史跡に指定された。JR鹿児島本線ほか熊本駅から産交バス「池の上」下車、徒歩約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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