汲古閣(読み)キュウコカク(英語表記)Jí gǔ gé

デジタル大辞泉 「汲古閣」の意味・読み・例文・類語

きゅうこ‐かく〔キフコ‐〕【汲古閣】

中国末・初の蔵書家毛晋もうしん書庫の名。蔵書は約8万部で、その中の善本を翻刻したものは汲古閣本として有名。

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精選版 日本国語大辞典 「汲古閣」の意味・読み・例文・類語

きゅうこ‐かくキフコ‥【汲古閣】

  1. 中国、明末、清初の蔵書家として知られる毛晉の書斎名。収蔵図書は八万部余といわれ、のち、その善本を覆刻したものが汲古閣本として知られる。
    1. [初出の実例]「賜りし所の六経は、汲古閣の善本にて」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「汲古閣」の意味・わかりやすい解説

汲古閣 (きゅうこかく)
Jí gǔ gé

中国,明末・清初,江蘇常熟にいた毛晋(1599-1659,字は子晋)の書庫の名。毛晋は大変な書物好きで,宋元版多数を含む8万数千冊の蔵書を誇り,汲古閣,目耕楼という書庫を建ててそれらを収蔵した。汲古とは井戸から水を汲むように古書に知識を求めること,目耕とは田畑を耕すように目を駆使して勉強することである。毛晋は蔵書家であるだけでなく,蔵書を利用した大規模な古書の復刻をも行った。《十三経注疏》《説文解字》《十七史》《文選》《宋名家詞》《六十種曲》《津逮秘書》等は,そのうちでも特によく行われ,学界便宜を与えたものであり,それらの多くは久しいあいだそれぞれの分野で最も重んぜられるテキストでありつづけた。これらの復刻本は〈汲古閣本〉あるいは〈毛本〉と呼ばれる。毛氏が人を雇って行った貴重書の写本作りも精密極まるもので,特に〈毛鈔〉と呼ばれることがある。子の毛扆(もうえい)(1640-?,字は斧季(ふき))も父を助けて古書校刊の事業に従事した。〈毛本〉の刊行は毛氏父子共同の業績と考えるべきものであろう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「汲古閣」の意味・わかりやすい解説

汲古閣
きゅうこかく
Ji-gu-ge; Chi-ku-ko

中国,明末に江蘇省常熟県の毛晋 (1599~1659) が建てた蔵書館の名。財力に恵まれた毛晋は広く書を集めることに努め,汲古閣に収蔵した書の数は8万 4000に上った。内容は経,史,子,集の全般にわたり,特に宋版本の収蔵は当代随一といわれた。蔵書中の『十三経注疏』『十七史』『津逮秘書』など多くの書は復刻され,汲古閣本として広く流布。清の朱記栄撰『汲古閣珍蔵秘本書目』,鄭徳懋撰『汲古閣校正書目』『汲古閣書目補遺』などがある。

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