油掛地蔵(読み)あぶらかけじぞう

日本歴史地名大系 「油掛地蔵」の解説

油掛地蔵
あぶらかけじぞう

[現在地名]伏見区下油掛町

正式には西岸せいがん寺と号し、浄土宗。山号は油掛山、本尊阿弥陀如来。天正一八年(一五九〇)雲海開基と伝える(京都府地誌)。「拾遺都名所図会」は「油懸山西岸寺」として「下油懸町にあり。浄土宗にして知恩院に属す。本尊は阿弥陀仏にして定朝の作、立像三尺。開基は雲海上人西蓮社岸誉と号す。此文字を摘んで西岸寺と称す」とする。次いで「油懸地蔵」の項には「門内の小堂に安置す。此地蔵尊は、石像、長五尺、作は詳ならず。いにしへより祈願ある者、灯油を此像に灌ぐときは、忽ち所願満足せり。むかし、山崎に住いする油商人あり。ある時、油を担うて此門前を過ぐるに、忽ち転びて油を流す。

油掛地蔵
あぶらかけじぞう

[現在地名]右京区嵯峨天龍寺油掛町

有栖ありす川の南、冑塚かぶとづかから西へ約三〇〇メートルの路傍の辻堂内に安置され、高さ約一・二メートル余の石像阿弥陀坐像。鎌倉期の作と推定される。この石仏に油を掛けると祈願成就するという伝説があり、全身が油にまみれている。

黒川道祐の「嵯峨行程」に「油掛ノ地蔵此辺ニアリ、凡ソ油ヲ売ル人、此ノ所ヲ過ルトキハ必ス油ヲ此ノ像ニ灌イテ過ク、然不其由」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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