一念(読み)イチネン

デジタル大辞泉 「一念」の意味・読み・例文・類語

いち‐ねん【一念】

ひたすら心に深く思いこむこと。また、その心。「親の一念が通じる」
ふと思うこと。
「―なりとも悔ゆる心をおこすべきなり」〈発心集・五〉
仏語
㋐非常に短い時間。瞬間
「ただ今の―、空しく過ぐる事を」〈徒然・一〇八〉
一度念仏。仏の救済を信じて唱えた一声の念仏。
臨終の―は百年の業に勝る」〈往生要集・中〉
[類語]ひたすらいちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らずまっしぐらしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中直線的専心専念没入没頭没我傾注傾倒猪突猛進ストレート我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一念」の意味・読み・例文・類語

いち‐ねん【一念】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ひたすらに思いこんでいること。また、その心。一心。執心。執念。
    1. [初出の実例]「一ねむのうらめしきも、もしは哀れとも思ふにまつはれてこそは」(出典:源氏物語(1001‐14頃)横笛)
    2. 「一念(ネン)かけし、彌兵次をうたでは置まじ」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)三)
    3. [その他の文献]〔陳鴻‐長恨歌伝〕
  3. ふと思うこと。ある一つの考え。
    1. [初出の実例]「金を奪ひ取りて千両に成して持たんと思ふ一念起りつ」(出典:康頼宝物集(1179頃)上)
  4. きわめて短い時間。一刹那または六十刹那など。
    1. [初出の実例]「一念うらやみたる事そら既に如此し」(出典:今昔物語集(1120頃か)二)
    2. [その他の文献]〔仁王護国経‐上〕
  5. 仏語。ひとたび仏を念ずること。一度念仏を唱えること。⇔多念
    1. [初出の実例]「一念といふとも必らず感応す これを巨海の涓露(けんろ)を納るるに喩ふ〈具平親王〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)下)
    2. [その他の文献]〔無量寿経釈〕
  6. 仏語。仏の救いを信ずることができたその瞬間、または信じて二心のないこと。主として浄土真宗でいう。
    1. [初出の実例]「言一念者、信心无二心故曰一念」(出典:教行信証(1224)三)
  7. 仏語。仏の智慧(ちえ)のこと。
    1. [初出の実例]「言一念者、仏智一念。正指仏心念心」(出典:浄土法門源流章(1311)大日本国浄教弘通次第)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一念」の意味・わかりやすい解説

一念
いちねん

仏教用語。非常に短い時間の単位。現在この一瞬の心,一心に仏陀を念じたり,仏陀の名前を称えたり,仏陀を瞑想したりすることにも用いられる。

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普及版 字通 「一念」の読み・字形・画数・意味

【一念】いちねん

ひた思い。

字通「一」の項目を見る

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