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法相宗秘事絵詞 ほっそうしゅうひじえことば

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世界大百科事典 第2版の解説

ほっそうしゅうひじえことば【法相宗秘事絵詞】

中国唐代,法を求めて入竺し,請来した梵本経典の漢訳に努めた玄奘三蔵の伝記を説いた,鎌倉時代後半の絵巻。古くは《玄奘三蔵絵》と呼ばれていたが,玄奘は法相宗の開祖と仰がれ,その行業を著すことから《法相宗秘事絵詞》とも称する。日本の法相宗の中心である興福寺大乗院に秘蔵され,現在は大阪の藤田美術館の所蔵となっている。全12巻から成り,玄奘の一生のうちでも,唐都長安を発して西域,インドを遍歴し,帰国するまでの偉大な事跡を集約的に取り上げ,インドでの教学や各地の仏跡の様相,あるいは困難を極めた旅行の途次を詳細に描き出している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法相宗秘事絵詞
ほっそうしゅうひじえことば

鎌倉後期(14世紀初頭)の絵巻。国宝。唐の高僧で法相宗の開祖、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)の伝記を叙したもので「玄奘三蔵絵」ともいう。全12巻、76段からなる大作。内容は、玄奘の生い立ちからインドへの求法(ぐほう)巡礼、帰国後の訳経活動、示寂(じじゃく)など一生に及ぶ。詞(ことば)は玄奘の弟子慧立(えりゅう)の著『大慈恩寺三蔵法師伝』に準拠し、鎌倉初期に成った先行絵巻をもとに制作されたと推定される。画面は中国、インドを舞台に異国の風景、風俗の描写に終始する。謹厳な描写と華麗な色彩を綿密に施したその画風は、1309年(延慶2)高階隆兼(たかしなたかかね)作の『春日権現霊験記(かすがごんげんれいげんき)』に酷似し、同一筆者、ないしは少なくとも同時期の同系絵師の作と思われる。14世紀初頭の宮廷絵所の作例として『春日験記』とともに重要。大阪・藤田美術館蔵。[村重 寧]
『小松茂美編『続日本絵巻大成7~9 玄奘三蔵絵』(1981~82・中央公論社)』

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