洋上風力発電(読み)ヨウジョウフウリョクハツデン

デジタル大辞泉 「洋上風力発電」の意味・読み・例文・類語

ようじょう‐ふうりょくはつでん〔ヤウジヤウ‐〕【洋上風力発電】

陸上に比べ強く安定した風が吹く海洋上での風力発電。陸上の同規模の設備よりも大きな電力が得られる。海洋底に直接設置する着床式、鎖などで固定した浮体上に設置する浮体式がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「洋上風力発電」の解説

洋上風力発電

海上に設置した巨大風車で発電する方法。日本は海に囲まれ、山間部沿岸での風力発電より洋上の方が安定した風が吹くため、発電効率が高いとされる。国は第6次エネルギー基本計画で、洋上風力について「大量導入やコスト低減が可能で経済波及効果が大きい」とし、再生可能エネルギー主力電源化の「切り札」として導入拡大の方針を打ち出した。洋上風力には風車の土台海底に固定する「着床式」と、海上に浮かべる「浮体式」がある。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「洋上風力発電」の意味・わかりやすい解説

洋上風力発電
ようじょうふうりょくはつでん

再生可能エネルギーの一つである風力発電は、風のエネルギーを風車の回転エネルギーに変えて発電を行うものだが、その発電設備を陸上ではなく、海洋上などに設置する風力発電設備のこと。発電設備を海底に固定する着床式と、固定せず設備を洋上に係留する浮体式の二つのタイプの風力発電がある。前者遠浅の海洋域でおもに利用され、後者は水深50メートル以上の深度海域等で用いられることが多い。

 現在、世界で急速に普及する再生可能エネルギーのうち、主力は太陽光発電と風力発電である。どちらも日照や風況などの自然条件に発電が大きく左右される特徴をもつ。日本ではこれまで太陽光発電の普及が大きく進んできたが、国土が山がちという制約もあり、太陽光パネルを設置する適地には限界がある。また風力発電については風況に恵まれた陸上地域が限定的で、かつエネルギー需要地から遠いことなどの課題がある。また、相対的に洋上のほうが風況が安定的によい場合も多い。そこで、四方を海に囲まれている日本において、将来の再生可能エネルギー拡大に関して洋上風力への期待が高まっている。

 第6次エネルギー基本計画では2030年の電源構成目標が示され、そのなかで再生可能エネルギーのシェアは36~38%と設定された。その中心は太陽光発電であり、次いで増加が見込まれるのが陸上風力発電となっている。洋上風力発電は、現状では固定価格買取制度(FIT制度)の設備認定済みの能力も含め、70万キロワット程度の小規模な能力にとどまっているが、経済産業省は今後の政策強化で2030年に370万キロワット程度にまで増強する、との目標を示している。また、長期的には洋上風力発電がさらに大幅に増加し、2050年のカーボンニュートラル目標達成のためには「切り札」になる、との期待も示されるようになっている。2020年(令和2)12月に発表された官民協議会による「洋上風力産業ビジョン(第1次)」案では、2040年までに3000~4500万キロワットの洋上風力案件を形成する、との目標も示された。今後、洋上風力発電が大きく拡大していくためには、供給コストの大幅削減、浮体式にシフトしていく場合に必要な設備の大型化に対応した信頼性の向上、社会受容性の確保、電力網の整備等が重要になる。

[小山 堅 2022年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android