六訂版 家庭医学大全科 「洗剤・界面活性剤中毒」の解説
洗剤・界面活性剤中毒
せんざい・かいめんかっせいざいちゅうどく
Detergent poisoning, Surface active agent poisoning
(中毒と環境因子による病気)
どんな病気か
家庭でよく使われる衣類・食器用洗剤には、陰イオン系、非イオン系などの界面活性剤が含まれています。
事故や誤飲、自殺目的の飲用などで洗剤が口に入った場合、少量であれば通常は問題ありませんが、多量の場合は、消化管粘膜の損傷や筋力の低下、けいれんなどが起こり、肝障害、ショックなどにより死亡することもあります。
原因は何か
界面活性剤には、陰イオン系、非イオン系のほか、陽イオン系、両イオン系があります。陰イオン系、非イオン系界面活性剤は、石鹸や洗浄剤として使用され、家庭用洗剤のほとんどにはこれらが使われています。
一方、陽イオン系界面活性剤は柔軟剤、殺菌剤、静電気防止剤などに用いられ、両イオン系は洗浄剤、柔軟剤、静電気防止剤などに用いられています。いずれも陰イオン系、非イオン系よりも毒性は強いのですが、家庭用洗剤に用いられる場合の濃度は低く抑えられています。
界面活性剤には蛋白凝固作用があり、消化管の粘膜を腐食させます。また細胞膜機能を低下させ、血管の
症状の現れ方
経口摂取の場合は、口腔や咽頭、消化管の粘膜を刺激し、損傷します。そのため多量に飲むと、腹痛や嘔吐、下痢を起こし、吐血、下血がみられることもあります。また、脱力、筋力低下、けいれんなどの神経症状が生じます。
さらに、肝障害、循環血漿量減少性ショック、アシドーシス(血液が酸性になること)、肺水腫などが起こり、死亡することもあります。
検査と診断
どんな物質をどの程度の量飲んだのかを確認することが大切です。初期症状は、かぜや食中毒に似ています。
治療の方法
牛乳または卵白を飲ませます。洗剤・界面活性剤を多量に飲んだ場合は、吐かせたり、
病気に気づいたらどうする
多くの場合、牛乳を飲ませるだけでよいのですが、洗剤・界面活性剤をコップ1杯あるいはそれ以上飲み込んでしまったら、牛乳を飲ませたうえ、吐かせて、救急病院に搬送してください。
関連項目
栗原 伸公
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報