浄土庭園(読み)ジョウドテイエン

デジタル大辞泉 「浄土庭園」の意味・読み・例文・類語

じょうど‐ていえん〔ジヤウドテイヱン〕【浄土庭園】

仏教における極楽浄土を模した庭園。多く、仏堂前面蓮池を配置する。平安時代に多く建造され、平等院浄瑠璃寺法金剛院毛越寺などのものが名高い。浄土式庭園

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百科事典マイペディア 「浄土庭園」の意味・わかりやすい解説

浄土庭園【じょうどていえん】

浄土思想に基づいて平安後期から現れた庭園の形式初期金堂阿弥陀堂の前面に大きな池を設ける程度の簡単なものだったが,のち浄土曼荼羅(まんだら)構図を作庭に応用し,極楽浄土を地上に再現しようとした。平泉毛越(もうつ)寺庭園,横浜市金沢の称名(しょうみょう)寺庭園などがその典型。→浄土教
→関連項目庭園

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「浄土庭園」の解説

浄土庭園
じょうどていえん

平安時代,仏教の浄土思想をもとに極楽浄土の雰囲気を具現するために造られた仏堂にともなう池庭。形態は仏堂の種類・形式・配置によりさまざま。意匠的には当時の貴族の住宅様式だった寝殿造庭園と同一といえる。はじめは浄土形式庭園とか浄土式庭園といったが,昭和10年代後半に浄土庭園として定着文献では慶滋保胤(よししげのやすたね)の「池亭記」(982成立)が初見。ついで藤原道長の法成寺,白河天皇の法勝寺があり,平安中期の遺構には平等院,平安末期には法金剛院・浄瑠璃(じょうるり)寺・円成寺・毛越(もうつう)寺・観自在王院跡・無量光院跡・白水(しらみず)阿弥陀堂がある。浄土庭園は鎌倉時代にも受け継がれ,禅宗文化の影響による新しい庭園の出現まで続く。

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