称名(読み)しょうみょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「称名」の解説

称名
しょうみょう

仏の名を口に称(とな)えること。念仏ともいう。念仏はもと仏を心に念ずることであったが、浄土教が盛んになると、念は称と同一とみられ、もっぱら阿弥陀仏(あみだぶつ)の救済を信じて「南無(なむ)阿弥陀仏」と称える称名念仏をさすようになった。称名は、仏に帰依(きえ)し、仏徳をたたえ、仏の救済を願うということであって、仏道修行のうちでもっとも行じやすく、かつ優れた利益(りやく)があると考えられ、浄土教では称名をもっとも重視した。『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』には、もっとも罪深い悪人でも十声の称名で救われたと説いているが、これはあらゆるものを救済しようと願う阿弥陀仏の慈悲の働きによるのである。中国浄土教の大成者である善導(ぜんどう)は、この教えによって、称名こそ仏の世界(浄土)に生まれることのできる中心となる行であることを説いた。日本では、浄土宗の開祖法然(ほうねん)(源空)はこれを受けて、専修(せんじゅ)念仏の教えを広め、浄土真宗の祖親鸞(しんらん)は称名(念仏)はそのまま阿弥陀仏の呼び声にほかならないと説いて、これを大行(たいぎょう)とよび、時宗の祖一遍(いっぺん)は念仏が念仏すると述べて称名の「ひとりばたらき」を強調した。本願寺第8世蓮如(れんにょ)は親鸞の教えを民衆に広く伝えたが、彼は称名は信心決定に対する報恩行(ほうおんぎょう)であると説いた。

[瓜生津隆真]

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デジタル大辞泉「称名」の解説

しょう‐みょう〔シヨウミヤウ|シヤウミヤウ〕【称名/唱名】

[名](スル)仏を心中に念じ、その名を声に出して唱えること。「南無阿弥陀仏」などと唱えること。

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精選版 日本国語大辞典「称名」の解説

しょう‐みょう ‥ミャウ【称名・唱シャウ名】

〘名〙
① 仏語。仏菩薩の名をとなえること。「南無釈迦仏」「南無阿彌陀仏」「南無観世音菩薩」などととなえること。念仏。
※霊異記(810‐824)下「願はくは我に銭を施せ、といひて、称名して願ひ求む」
※平家(13C前)五「夫厳島の社は称名あまねくきこゆるには、効験無双(こうげんぶそう)の砌(みぎり)也」
② その名が広く知られていること。名高いこと。有名。著名。
※書陵部本応仁記(15C後)「東は〈略〉西園寺殿、転生輪三条殿等の称名ある程の公家の御所」

たたえ‐な たたへ‥【称名】

〘名〙
① 徳や功績をほめたたえて呼ぶ名。美称。
※霊の真柱(1813)上「さて豊斟渟神は〈略〉御名の豊は美称(タタヘナ)なり」
② 世間一般に通用する名。通称。
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)八「姓は犬田、世称(タタエナ)を小文吾となん喚れ給ふ」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「称名」の解説

称名
しょうみょう

仏陀などの名を口に称えること。浄土教では阿弥陀仏と称えることで,浄土宗はこれが浄土に生れる最も重要な要因であるとし,浄土真宗では阿弥陀に報いるためのものであるとするなど諸説がある。

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