日本大百科全書(ニッポニカ) 「浅尾原」の意味・わかりやすい解説
浅尾原
あさおはら
山梨県北部にある原野。茅ヶ岳(かやがたけ)(1704メートル)の西斜面、標高700~1000メートルの間に広がり北杜市(ほくとし)に属する。地形的には隆起扇状地とされるが、現在の塩川の河床からは300メートル以上の比高がある。古代は牧(まき)(小笠原牧(おがさわらのまき))としてその一部が利用されたが、近代の開発は明治末の低地麓(ろく)への入植に始まる。第二次世界大戦後の開拓により、農地化した部分が広い。土壌は腐食に富む軽鬆(けいしょう)土で、黒ぼく土に分類され、耕しやすい。しかし海抜高度の高い部分は褐色森林土となっている。乏水性の台地であり、さまざまな農業が試みられたが、現在では山梨県でも有数の野菜、とくにダイコン(浅尾ダイコン)の生産地域として著名である。
[吉村 稔]