日本大百科全書(ニッポニカ) 「浜田知明」の意味・わかりやすい解説
浜田知明
はまだちめい
(1917―2018)
版画家。熊本県生まれ。県立御船(みふね)中学在学中に富田至誠の影響を受ける。1939年(昭和14)東京美術学校卒業後、第二次世界大戦終了まで、下級兵士として兵役につく。戦後、駒井哲郎(こまいてつろう)・関野準一郎(せきのじゅんいちろう)(1914―1988)に銅版画法を学び、1956年のルガノ国際版画展出品の『初年兵哀歌(歩哨(ほしょう))』が受賞し、これに続く兵隊シリーズで、戦争体験を原点とした社会派版画に独自の孤高の地位を築く。その後、彫刻も始める。1993年には大英博物館日本館で「浜田知明展」、1996年には東京・小田急美術館で「浜田知明の全容展」が開催された。フランス芸術文化勲章受章(1989)。
[永井信一 2018年7月20日]
『『浜田知明作品集 取引・軍隊・戦場』(1982・現代美術社)』