日本大百科全書(ニッポニカ) 「海上交通センター」の意味・わかりやすい解説
海上交通センター
かいじょうこうつうせんたー
海難事故を未然に防止するため、船舶への情報提供と航行管制を一元的に行う海上保安庁の機関。海上交通安全法と港則法に基づき、船舶の航行が輻輳(ふくそう)する海峡や湾口などに設けられている。1977年(昭和52)に、初めて浦賀水道などの航行情報提供と航行管制を行う東京湾海上交通センター(神奈川県横須賀(よこすか)市)が設けられ、以降、2014年(平成26)1月時点で、伊勢(いせ)湾(愛知県田原(たはら)市)、名古屋港(名古屋市港区)、大阪湾(兵庫県淡路(あわじ)市)、備讃(びさん)瀬戸(香川県宇多津(うたづ)町)、来島(くるしま)海峡(愛媛県今治(いまばり)市)、関門海峡(北九州市門司(もじ)区)の合計7か所に設置されている。英語名のMarine Traffic Information Serviceの頭文字をとってマーチスMARTISとよばれることもある。大型船舶の航行や入・出港予定、船舶の混雑状況、レーダーやテレビカメラなどで確認した航行状況、気象・海象・海流の状況、海難事故、航行制限などの情報を24時間態勢で分析し、船舶無線やラジオ放送などで各船舶に提供して安全航行をうながしている。また各船舶から航路通報を受理するほか、視界不良時の航行制限の指示などの管制業務も行う。
[編集部]