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海上交通管制 かいじょうこうつうかんせいmarine traffic control

世界大百科事典 第2版の解説

かいじょうこうつうかんせい【海上交通管制 marine traffic control】

航路の効率的運用と安全性を向上させるために,航行船舶の自由な行動を人為的に制限すること。海上交通管理ともいう。海上交通管制は適用水域を定めて,船の交通方法を法令で規定するもので,規制の強さによって,(1)情報サービス,(2)船からの要望による誘導,(3)誘導,(4)能動的管制に分類され,またその内容からは,通路の指定,方向の指定,速力の制限,信号制御,個別管制に分けられる。実施には,法令のみに依存する方法,指示勧告による方式,交通管制方式があり,指示勧告方式と交通管制方式では対象水域内の船舶の行動を統一的に把握し,必要な指示,勧告,または指令を行うために海上交通管制センターを設け,ここで監視用レーダー,VHF無線,信号などを用いて情報の収集,伝達をしている。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海上交通管制
かいじょうこうつうかんせい

海上交通の整理のために、船舶など移動体のかってな行動をなんらかの方法で規制する措置の総称。海上ではとくに道があるわけではないので、交通がまばらなうちは自由航行ができるが、輻輳(ふくそう)してくると、かって気ままな航行は交通の能率を落とし、安全が阻害されるので、なんらかの規制が必要となる。海上交通管制は交通の状況や地域の特性などによって、そのレベルや方法が異なるが、そのレベルは通常次のように分類される。(1)交通分離、(2)法的規制、(3)船舶どうしのVHF(超短波)通信、(4)信号による管制、(5)VHFによる管制、(6)レーダーとVHFによる積極的航行援助と勧告、(7)個々の船舶の直接誘導。
 法的規制や信号管制などは港湾やその近辺では古くから行われている方法であるが、これだけでは最近の船舶の混雑をさばききれない。また船舶の高速化、巨大化、さらに危険物積載が増加しているため、積極的管制の必要性が生じた。港湾や輻輳水域にレーダーや通信システムを設置し、これらによって船舶の動静や、運航のために必要な情報を収集する。これを中央管制室で電子計算機などで情報処理し、船舶交通の状況を総合的に把握する。同時に個々の船舶についての運航状況を監視し、交通の流れの乱れや危険な状況を察知し、これを事前に防止するものである。
 レーダーを用いる管制方式はハーバー・レーダー・システムharbor rader systemともいわれ、1960年ころからヨーロッパで使用され始め、ついでアメリカで実施された。日本では62年(昭和37)釧路(くしろ)港に初めてハーバー・レーダーが設置され、ついで大阪港にも設置された。77年(昭和52)、東京湾浦賀水道の交通管制のため観音崎に設立された東京湾海上交通センターは、世界有数の設備をもつ機能的な管制システムである。このシステムでは浦賀水道を一方通航とし、大型船については事前連絡で通航時間を割り当て、船の間隔を十分もたせて衝突の危険をなくしている。そして個々の船舶には「個別情報」により船位や他船の動静を知らせ、衝突や乗揚げ等が予想されるときは「特別情報」により注意を喚起する。通航時間の指示や視界不良時の入航制限などは「管制情報」によってVHF等で指示される。船舶通航状況や気象状況、工事作業等に関してはラジオの「定時放送」によってすべての船舶に周知させている。狭水道でこのシステムがあるのは、浦賀水道、備讃瀬戸、明石(あかし)海峡、来島(くるしま)海峡、関門海峡である。[飯島幸人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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