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海洋生態学 かいようせいたいがく

大辞林 第三版の解説

かいようせいたいがく【海洋生態学】

海洋の微生物・プランクトン・海藻・魚類・海洋哺乳類などの分布・行動・進化、有機物生産、物質循環などを総合的に研究する学問。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海洋生態学
かいようせいたいがく
marine ecology

海洋で生活している生物を対象に、個体あるいはそれ以上のレベルで生活現場での生物と環境との関係を研究する科学。環境としては、水温、塩分、光の強さ、水圧、栄養物質濃度といった無機的要因だけでなく、餌(えさ)、捕食者、寄生者、競争種などの他の種や、同種の他の個体の影響などの生物的要因も含む。生物海洋学もほぼ同義。なお、海洋生物学は、海洋生物を材料として実験室で環境への生物の反応を見たり生物が含んでいる物質を抽出したりするもので、生物が生活している現場環境は考慮しないため、海洋生態学とはいえない。
 地球上の生物を直接取り囲んでいる媒質は水と空気のいずれかで、水を媒質としている生態系は水界生態系、空気を媒質とするものは陸域生態系に大別される。水界生態系を研究対象とするものは水界生態学あるいは水圏生態学とよばれ、海洋生態学は湖沼生態学、河川生態学、地下水生態学、汽水域生態学などとともに水界生態学の一分野でもある。
 海洋で生活するセミクジラのような特定の種やクジラの仲間といった特定の生物グループ、あるいは植物プランクトンや海藻・海草のような光合成で生活するグループ、プランクトンや底生生物のような生息環境の同じ仲間を対象としたり、また海洋生態系全体を取り扱うなど、さまざまなとらえ方がある。さらに、用いる解析手段もフィールドの観察結果を基にするアプローチから、実験室での検証実験を使った実験生態学や、数理解析やシミュレーション解析などを利用したものなどまで多様であるが、海洋生態学の究極の目的は海洋生態系の理解である。
 海洋生態学の対極の概念は陸域生態学であるが、陸域では対象とする特定の生態系や生物グループに着目する研究意識が強く、陸域を統括するような研究姿勢は必ずしも強くない。これは海洋生態系が海全体としてまとまっているのに対して、陸域生態系は陸域としてよりも森林、草原、荒地などとしてまとまっていて、それらを個別に取り扱ったほうが特徴の理解が容易なことと関係している。[高橋正征]
『清水潮著『海の微生物たち』(1982・大月書店) ▽T・R・パーソンズ、高橋正征、B・ハーグレーブ著、高橋正征・古谷研・石丸隆監訳『生物海洋学4 ベントス』(1996・東海大学出版会) ▽原島省・功刀正行著『海の働きと海洋汚染』(1997・裳華房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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