液化石油ガス(読み)エキカセキユガス(英語表記)liquefied petroleum gas

デジタル大辞泉 「液化石油ガス」の意味・読み・例文・類語

えきか‐せきゆガス〔エキクワ‐〕【液化石油ガス】

石油精製の副産物として出てくるプロパンブタンなどの炭素数が3または4の炭化水素ガスを、常温加圧し液化したもの。工業用・家庭用燃料として広く使われる。プロパンガスLPガスLPG(liquefied petroleum gas)。

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精選版 日本国語大辞典 「液化石油ガス」の意味・読み・例文・類語

えきか‐せきゆガスエキクヮ‥【液化石油ガス】

  1. 〘 名詞 〙 ( ガスは[オランダ語英語] gas ) 石油精製の副産物として出てくる炭素数3および4の炭化水素ガスを圧縮して液化したもの。プロパン、ブタン、プロピレンおよびブチレン。燃料や合成樹脂原料として用いる。LPガス。LPG。

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改訂新版 世界大百科事典 「液化石油ガス」の意味・わかりやすい解説

液化石油ガス (えきかせきゆガス)
liquefied petroleum gas

略称LPG。俗にプロパンガスともいう。炭素数3あるいは4の脂肪族炭化水素であるプロパンC3H8,プロピレンC3H6,ブタンC4H10,ブチレンC4H8などは常温・常圧下では気体であるが,冷却または加圧することにより比較的容易に液化するので,ボンベなどの加圧容器に充てんすれば輸送に便利である。この液化された炭化水素混合物を液化石油ガスといい,家庭用,工業用,自動車用などの燃料として,また化学原料としても広く用いられている。無色で微弱なガス臭があり,毒性は弱いが,多量に吸入すれば軽微な麻酔性がある。爆発限界は約2~10%(容量)と狭いが,比重が空気よりも大きいので,漏れ出した場合は低いところに停滞しがちで気づきにくい。漏洩(ろうえい)検知の目的で着臭剤が加えられているが,通風に十分な注意が必要である。総発熱量約2万4000kcal/m3(プロパン)~3万1000kcal/m3(ブタン)で都市ガスの数倍も大きく,また硫黄分をほとんど含まない。

液化石油ガスは湿性天然ガスから,また原油のスタビライズ(蒸気圧調整)工程から回収される。また石油精製工場の常圧蒸留装置や接触分解・水素化分解装置などから発生する製油所ガス,さらに石油化学工場のナフサ熱分解装置の分解ガスなどから回収される。回収技術としては,圧縮冷却,溶剤吸収,活性炭吸着などの方法があり,また低温分留,アルカリ洗浄などの方法によって分離,精製が行われる。

液化石油ガスの用途は次のとおりである。(1)家庭・業務用。プロパンを主成分とするLPGが用いられ,厨房(ちゆうぼう),暖房用などにあてられる。(2)工業用。ブタンを主成分とするLPGが用いられ,金属工業,窯業,食品,印刷,塗装その他の工業で用いられる。燃焼排気がきれいである点が喜ばれている。(3)自動車用。ブタンが営業用乗用車に大量に用いられている。オクタン価が高く,排気もきれいである。(4)都市ガス用。増熱用に利用される。
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百科事典マイペディア 「液化石油ガス」の意味・わかりやすい解説

液化石油ガス【えきかせきゆガス】

LPG(liquefied petroleum gasの略)ともいう。身近なものとしてプロパンガスがある。石油精製または石油化学工業で副生する炭化水素のうち,おもにプロパンC3H8またはブタンC4H1(/0)を分けとり,ボンベ中に加圧液化したもの。家庭用,商工業用,タクシーなど一部自動車用の燃料として使用。発熱量約2万4000kcal/m3(プロパン)〜3万1000kcal/m3(ブタン)。2005年,石川県七尾市に国内初のLPガス備蓄基地が完成した。
→関連項目都市ガスプロパン

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化学辞典 第2版 「液化石油ガス」の解説

液化石油ガス
エキカセキユガス
liquefied petroleum gas

略称LPG.石油工業で副生する炭素数3~4のガス状炭化水素を圧縮液化して,耐圧容器に充填したもの.プロパンを主成分としたものが多く,俗にプロパンガスともよばれる.容易に気化して都市ガスと同様に使用でき,家庭用,工業用燃料として広く用いられる.ガスライター用のガスはブタンが主成分で,これも液化石油ガスの一種である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「液化石油ガス」の解説

液化石油ガス

炭素数3及び4の炭化水素ガス(プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン及びその混合物)がLPG。石油精製時に発生するガス、天然湿性ガス、石油化学工業での原料油の熱分解生成物などが原料。加圧すると液化して輸送に便利なため、都市ガスのない地域の家庭・商業用燃料、自動車用燃料、また一部は工業用原料に利用される。LNGは、メタンガスを-162℃で液化すると体積が600分の1になって輸送が容易。日本はLNGタンカーで海外から輸入。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の液化石油ガスの言及

【ガス事業】より

…他方,都市ガスの原料は石油危機後,急速に多様化している。すなわち昭和40年代の後半以降,従来の石炭系ガスから石油系ガスへのシフトが進んだが,石油危機後は石油系ガスも急減し,これに代わってLNG(液化天然ガス)とLPG(液化石油ガス)が急増している。原料構成は,石油危機当時の1973年度には石炭系23%,石油系42%,LNG24%,LPG10%であったが,これが80年度には石炭系10%,石油系17%,LNG54%,LPG19%へと大きく変化した。…

※「液化石油ガス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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