玄奘三蔵がインドに仏典を求めたとき,途中の砂漠で出現して励ましたと伝える護法神(沙悟浄)。形像は腰衣だけ着る力士形の裸形像で,腹部に小児の顔を出現させ,首に髑髏(どくろ)の瓔珞(ようらく)をかける二臂(にひ)の立像である。左手に青蛇をつかむ像もある。大般若経の守護神として,大般若十六善神図の中に玄奘三蔵像とともに描かれる場合が多い顕教系の尊像である。単独に造像されることは少ないが,東大寺と横蔵寺(岐阜)の彫像が知られる。
執筆者:関口 正之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…単独で信仰された天部像には,インド古代神話の著名な神々である吉祥天,弁才天,摩利支天,大黒天,聖天(しようてん),さらに訶梨帝母(かりていも)(鬼子母神)や韋駄天などがある。また,金剛力士や深沙大将(じんじやたいしよう)などの護法善神も天部に加えている。このうち中国から日本に至る地域で造られた四天王,十二神将の像は甲冑を着る武将像が多く,八部衆像の大部分も武将像であり,金剛力士や深沙大将は上半身裸形の力士形である。…
※「深沙大将」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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