デジタル大辞泉
「鬼神」の意味・読み・例文・類語
おに‐がみ【鬼神】
《「鬼神」を訓読みにした語という》荒々しく恐ろしい神。きじん。
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き‐じん【鬼神】
- 〘 名詞 〙 ( 「きしん」とも )
- ① ( 「鬼」は死者の霊魂、「神」は天地の神霊の意 ) 天地万物の霊魂。また、神々。
- [初出の実例]「時政違乖。民情愁怨。天地告レ譴。鬼神見レ異」(出典:続日本紀‐神亀四年(727)二月甲子)
- 「動二天地一感二鬼神一」(出典:古今和歌集(905‐914)真名序)
- [その他の文献]〔礼記‐楽記〕
- ② 仏語。超人間的な威力や能力をもったもの。仏法護持の、梵天、帝釈などの天や龍王、および夜叉など天龍八部衆を善鬼神、羅刹などを悪鬼神とする。
- [初出の実例]「緊那羅。乾闥波。即是鬼神」(出典:法華義疏(7C前)一)
- 「我諸の鬼神并に夜叉神等を召して」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)
- ③ 変化(へんげ)。鬼。恐ろしい神。
- [初出の実例]「鬼神を駈(おひ)使ひ、得ること自在なり」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
- 「丹州大江山の鬼神を従へしよりこのかた」(出典:謡曲・羅生門(1516頃))
鬼神の補助注記
「日葡辞書」では、漢音読みのキシンと呉音読みのキジンとでは意味が異なっているとする。すなわち、キシンは神になった死者の魂をいい、神と悪魔をいうのに対して、キジンは悪魔だけを指すという。
おに‐がみ【鬼神】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「鬼神(きしん)」の訓読か ) 目に見えない精霊。荒々しく恐ろしい神。
- [初出の実例]「めに見えぬ鬼神をもあはれとおもはせ、をとこ女のなかをもやはらげ、たけきもののふの心をもなぐさむるは哥(うた)なり」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- ② 借金を取り立てに来る者。債鬼。
- [初出の実例]「目に見へる鬼かみの来る大晦日」(出典:雑俳・柳多留‐三九(1807))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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鬼神
きしん
死者の霊魂を神として祀(まつ)ったものをいう。これを「きじん」ともいうが、その場合は荒々しい鬼の意として使われることが多い。オニガミということばは恐ろしい神の意とされている。『古今和歌集』の仮名序に「力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ……」と書かれている。鬼神という語は中国より伝来したもので、その意義は多様である。祖先または死者の霊魂をいうが、幽冥界(ゆうめいかい)にあって人生を主宰する神ともされており、さらに妖怪変化(ようかいへんげ)ともみられている。中国の古典にはいろいろと鬼神のことが述べられている。たとえば『礼記(らいき)』には鬼神が天地、陰陽(いんよう)あるいは山川と連想されたり、併称されたりしている。そして鬼神を祀ることが礼であるという。この鬼神の語がわが国に移入されたのであるが、鬼は一般に妖怪のように悪者とされている。鬼退治の伝説、昔話が多く語られている。大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)や桃太郎の昔話などでよく知られている。しかしその一方に、戦場に赴く者が「死して護国の鬼とならん」などというのは、中国の鬼神と相通じるものがあり、人の過去帳に載るのを「鬼籍に入る」という漢語表現も使用されているのである。
[大藤時彦]
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鬼神 (きしん)
guǐshén
中国において死者の霊魂をいう。人間は陽気の霊で精神をつかさどる魂と,陰気の霊で肉体をつかさどる魄(はく)との二つの神霊をもつが,死後,魂は天上に昇って神となり,魄は地上にとどまって鬼となると考えられた。鬼神は超自然的な力を有し生者に禍福をもたらす霊的な存在であり,その顕現の仕方によって善神と悪鬼との両様に分かれ,祭祀と祈祓(きふつ)の対象となる。また,天地造化の霊妙なはたらきそのものをも指すことがある。
執筆者:麦谷 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「鬼神」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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鬼神【きしん】
中国では亡霊を鬼(き)といい,特に横死してまつられない亡霊(幽鬼)は祟(たたり)があるとした。鬼神も祖霊などの半人半神の霊的存在,ことに荒ぶる神霊をいったが,仏教伝来後,その羅刹(らせつ)などの影響で怪異な姿の悪鬼に描かれるようになった。日本の鬼(おに)も中国の鬼神の影響を受けている。なお,西洋のデーモンに鬼神,デモノロジーに鬼神学の訳が与えられることがある。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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鬼神
きしん
きじん,おにがみとも読む。普通人の耳目ではとらえることができない,超人的な能力をもつ存在で,人間の死後の霊魂や鬼,化け物などをいう。 (→鬼〈き〉)
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世界大百科事典(旧版)内の鬼神の言及
【鬼神論】より
…1800年(寛政12)刊。近世思想史上の一争点であった〈鬼神〉の存在について,人間の生死を〈陰〉〈陽〉二気の集合離散と見る立場から,人間の死後,〈陰〉は〈鬼〉,〈陽〉は〈神〉となって天地に帰ると合理的に説明しているが,一面では超自然の怪異もみとめている。ために後年,山片蟠桃(やまがたばんとう)の《[夢の代]》の無鬼論,平田篤胤(あつたね)の《鬼神新論》の有鬼論の双方から批判された。…
【山水画】より
…これが自然と人間の精神の同質性,あるいは類似性という中国古典思想の根本であり,後世,詩画による山水への逃避,人間世界を超えた理想郷を胸中に現出させたところの山水臥遊の精神に受けつがれるのである。 このような神仙生活の場に登場したのが鬼神であり,山や川,沼や池はもとより,天地にはそれぞれの神が宿る。ところが孔子によれば〈君子は鬼神を敬して遠ざけ〉てしまう。…
※「鬼神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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