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儀軌 ぎきvidhi; kalpa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

儀軌
ぎき
vidhi; kalpa

仏教やバラモン教などにおける,仏陀菩薩,あるいは神々を対象に行う儀式や祭祀の規定。ベーダ時代のバラモン教的祭式は,いわゆる『祭事経』 Kalpa-sūtra中に要約され,簡潔に記されているが,仏教,特に密教においては,仏陀,菩薩などを対象にした供養などに関する規定を重要視し,これを儀軌と称する。また,これを記した文献をもいう。日本における文献としては江戸時代に編纂された『録内儀軌』『録外儀軌』が有名。これらの儀軌は,一種の秘伝として,師から弟子へと秘密裏に伝授される。修法に必要な尊像はすべて儀軌に準拠して彫刻され,図絵にされた。

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デジタル大辞泉の解説

ぎ‐き【儀軌】

密教で、仏・菩薩(ぼさつ)・諸天などを念誦(ねんじゅ)・供養する方法や規則。また、それらを記した典籍。
規則。法則。儀範。
「仏々祖々の法は、かならずその始めに、帰依三宝の―あるなり」〈正法眼蔵・帰依仏法僧宝〉

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百科事典マイペディアの解説

儀軌【ぎき】

秘密儀軌,供養法とも。密教諸仏,諸菩薩,諸尊造像,念誦(ねんじゅ),供養等に関するすべての方法,規則,またはそれを記した典籍。密教では師授を重んずるから公開されないものが多かったが,明治以後の大蔵経などには多数の儀軌が収められるようになった。

儀軌【ぎき】

朝鮮王朝の歴代王室の儀礼国家と王室の主要行事の記録。当該行事の準備過程から人員費用用具資材まで,詳細な図解とともに記録されている貴重な資料で,世界記憶遺産に登録された。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎき【儀軌】

経典に説かれた仏,菩薩,諸天(神)などの造像,供養,念誦(ねんじゆ)などの儀式の執行規則のこと。その規則を定めた書もまた儀軌といわれる。サンスクリットの〈カルパkalpa〉または〈ビディvidhi〉の訳。儀軌の歴史は古く,ベーダやブラーフマナの時代にまでさかのぼる。そこでは,祭式の執行規則を定めた書は《カルパ・スートラ》と呼ばれていた。それが密教にも取り入れられ,密教儀礼の発達とともにその執行規則としての儀軌もさかんに作られた。

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大辞林 第三版の解説

ぎき【儀軌】

密教で、仏・菩薩・諸天神などを供養したり、念誦ねんじゆをするときの儀式規則。また、それを記した書物。
規則。規範。儀法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

儀軌
ぎき

法則、規則の意。サンスクリット語のカルパkalpa、ビディvidhi、タントラtantraの訳。秘密儀軌ともいう。古代インドの諸神礼拝(らいはい)の規定、儀式の執行規定を称したが、さらには密教の儀礼の発達につれて諸尊の造像、供養(くよう)、呪文(じゅもん)の読誦(どくじゅ)などの修法(しゅほう)次第を記したものを儀軌という。一般に、教理の記述である経典(スートラstra)に対して儀軌と称するが、密教では両者の区別は明確ではない。密教の修法次第によって、諸尊の内証本誓(ないしょうほんぜい)(心のうちの悟りや本来の誓願)が異なるため、儀軌の種類が多く、相違点もある。現存の儀軌にはインド撰述(せんじゅつ)のものと中国撰述のものとがある。また、別に密教の経典と儀軌の理解や修法上の便宜のため弟子に伝授する師の口伝(くでん)が、次第、法などと名づけられて数多く編集された。それらは聖教(しょうぎょう)とよばれる。[小野塚幾澄]

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世界大百科事典内の儀軌の言及

【図像】より

…このような資料の典型例として,洋の東西に古くから存する図像手引書がある。仏教美術における〈儀軌〉,ビザンティン美術における〈図像釈義Hermēneia〉,ルネサンスからバロックにかけて各種編纂された〈エンブレマータEmblemata(標章学書)〉等がそれである。また,本来図像手引書として編まれたものではないが,かなりの確実性をもって図像とその内容の一対一対応を示唆する文書がある。…

【パーラ・セーナ朝美術】より

…密教の展開に伴って尊像の種類が急激に増加し,旧来の釈迦像や仏伝図浮彫に加えて,多面多臂の複雑な像容をとるものや,女性の尊像も出現した。密教経典に説かれる諸尊を供養する方式規則を儀軌と呼び,この儀軌において多種多様な像容が細かく規定され,造像法も定型化した。この時代の彫刻はグプタ様式,とくにサールナート派のそれを継承し,優美にして繊細な作品も生んだが,かつての仏像がもっていた深い精神性はもはやここには見いだせない。…

※「儀軌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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