日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉松」の意味・わかりやすい解説
吉松
よしまつ
鹿児島県中部、姶良郡(あいらぐん)にあった旧町名(吉松町(ちょう))。現在は湧水(ゆうすい)町の北部を占める。旧吉松町は1953年(昭和28)町制施行。町名は近世外城(とじょう)制下の郷名による。2005年(平成17)栗野(くりの)町と合併し湧水町となった。旧吉松町域は霧島連峰山麓(さんろく)のすり鉢状盆地で、中央部を川内(せんだい)川が流れる。JR肥薩線(ひさつせん)と吉都線(きっとせん)が分岐し、国道268号が通じる。1564年(永禄7)島津氏の直轄地となり、旧名の筒羽野(つつはの)を吉松と改称、地頭館(じとうやかた)は鶴丸(つるまる)にあった。明治末期以来、機関庫が置かれるなど鉄道の町として栄えたが、1987年の国鉄民営化後は農業中心の地域振興が図られている。米のほか野菜、花卉(かき)などを栽培するが、畜産や養蚕も盛ん。九州自動車道開通後には電器部品などの企業進出がみられる。鹿児島刑務所(1986年鹿児島市より移転)がある。栗野岳山腹のヒガンザクラ自生南限地は国指定天然記念物。
[白石太良]
『『吉松町郷土誌』(1970・吉松町)』