改訂新版 世界大百科事典 「満漢全席」の意味・わかりやすい解説
満漢全席 (まんかんぜんせき)
Mǎn Hàn quán xí
中国で,象の鼻,毒蛇,麝香猫(じやこうねこ),つばめの巣,ふかのひれ,銀耳(シロキクラゲ)などの高級材料や珍奇な材料をぜいたくに用い,2~3日にわたって食べる料理で,満州族と漢民族の料理の粋を集めたもの。清朝第3代の乾隆帝が揚州を訪れたとき,塩で巨富を得た塩商が,山海の珍味を集め,満州風の手法もとり入れて料理をしたのを,満漢席と命名し皇帝に献上したのが始まりである。李斗の《揚州画舫録》に料理49種を記し,満漢全席というと記載されている。第2次世界大戦後,香港,台北などで清朝の宮廷料理満漢全席として売り出している料理は,清朝の宮廷料理ではないが,中国料理の高級な技術の成果として評価できる。ちなみに北京の高級料理店〈仿膳〉では,その料理を満漢全席ではなく清朝の宮廷風味である,としている。
執筆者:田中 静一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報