日本大百科全書(ニッポニカ) 「満礬ざくろ石」の意味・わかりやすい解説
満礬ざくろ石
まんばんざくろいし
spessartine
ざくろ石の一種で、マンガンとアルミニウムを主成分とする鉱物。十二面体、二十四面体を主とする結晶のほか、粒状や塊状を呈する。マンガン鉱床から石英、ばら輝石、テフロ石などに伴って産するものは、理想化学組成に近い。日本の変成層状マンガン鉱床からはきわめて普通に産する。マンガン鉱物をほとんど伴わない花崗(かこう)岩ペグマタイト、デイサイト、結晶片岩中から産するものは一般に鉄に富み、鉄礬ざくろ石との中間組成をもつことが多い。英名は原産地、ドイツ・バイエルン州北西部にある山地シュペッサルトSpessartにちなむ。和名は化学組成による。
[松原 聰]
満礬ざくろ石(データノート)
まんばんざくろいしでーたのーと
満礬ざくろ石
英名 spessartine
化学式 Mn3Al2Si3O12
少量成分 Ca,Fe,Ti,V,Mg
結晶系 等軸
硬度 7~7.5
比重 3.8~4.3
色 赤,橙,黄,褐
光沢 ガラス
条痕 白
劈開 なし
(「劈開」の項目を参照)
その他 苦礬ざくろ石-鉄礬ざくろ石-満礬
ざくろ石固溶体をパイラルスパイト
pyralspiteとよぶ